NYでもGPSアートを制作 世界を走り続ける志水直樹さんの挑戦

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マンハッタンの街路を走りながら描いたのは、2026 FIFAワールドカップ公式キャラクター「Clutch(クラッチ)」だ。GPSランナーの志水直樹さん(39)がニューヨークで完成させた巨大GPSアートだ。

この作品は、現在進行中の「ELEVEN RUN 2026」プロジェクトの一環として制作されたもの。2016年に始めたGPSアート活動は今年で11年目を迎えた。「11年目の挑戦」「サッカーのイレブン」、そして「北中南米11カ国を巡る旅」という三つの意味を込め、このプロジェクト名を名付けたという。

ニューヨークで描いたのは、ワールドカップ公式キャラクター3体のうち、アメリカ大会の公式キャラクター「Clutch」。残る2体は、メキシコシティとトロントで完成させた。現在はニューヨークを離れ、コロンビアで次の作品制作を続けている。

NYビズの「ビズ」という媒体名をGPSアートで描いた志水さんの作品

 

誰もが参加できる「競わないスポーツ」を目指して

志水さんは元小学校教員。現在の活動の原点は、特別支援学級で出会った車椅子の児童だった。

「周りの子と同じようにスポーツがしたい」

その言葉を聞いた時、「だったら新しいスポーツを作ればいいじゃないか」と考えたという。

スマートフォンのGPS機能を活用し、歩いたり走ったりした軌跡で地図上に絵を描くGPSアート。そこには順位もタイムも存在しない。

「描き切ることが目標なので、速い遅いは関係ありません。歩いても、走っても、自転車でも、車椅子でも参加できる。僕はこれを『競わないスポーツ』だと思っています」

2016年に活動をスタートし、教員を続けながらGPSランナーとして活動。2019年には教職を離れ、世界で唯一のプロGPSランナーとして本格的な活動を始めた。

これまでに制作した作品は約1,650点。作品を描いた国は14カ国、渡航国は33カ国に及ぶ。

 

地球をキャンバスに、世界11カ国をつなぐ旅

「ELEVEN RUN 2026」は、ワールドカップ開催で盛り上がる北中南米11カ国を巡る長期プロジェクトだ。

メキシコシティでは約130キロ、トロントでは約110キロを走り、それぞれワールドカップ公式キャラクターを制作。ニューヨークでは「Clutch」を完成させ、現在はコロンビアを拠点に活動を続けている。

一方で志水さんは、飛行機や車、ランニングなど世界中の移動軌跡を一つにつなぎ、地球全体に「SMILE」の文字を描く壮大なプロジェクトにも取り組んでいる。

「地球をキャンバスにして、一つのアートを完成させたいんです」

旅は決して順風満帆ではない。ペルーでは約3,000ドルの詐欺被害にも遭った。しかし、その出来事をきっかけに現地の人々との出会いが生まれた。

「どん底の時ほど、素敵な出会いがある。それを何度も経験してきました」

十分な資金があるわけではない。出発前には私物のほとんどを手放し、「お金がなくてもどうにかなる」という思いで旅を続けている。

「人がいるところには出会いがあるし、生きていれば何とかなるんです」

今後はチリ、アルゼンチン、ブラジルなど南米各地を巡りながらGPSアート制作を続けるほか、7月21日にはチリ・サンティアゴ日本人学校で小中学生を対象に講演会を行う予定だ。

最後に、海外へ飛び出そうと考えている人へのメッセージを求めると、志水さんは迷わずこう答えた。

「考えるより、まず来る。飛び込んでみてから感じて、考えればいい」

競うためではなく、人とつながるために走る。

世界中に「競わないスポーツ文化」を広げるという夢を胸に、志水直樹さんは今日も地球というキャンバスの上を走り続けている。


プロフィル

志水直樹(しみず・なおき)

兵庫県西宮市出身のGPSランナー。建設コンサルタント、小学校教員を経て、2019年に世界初の職業「GPSランナー」として独立した。「競わないランニング文化を創る」を使命に、歩いたり走ったりした軌跡で地図上に絵を描くGPSアートを国内外で展開。2016年の活動開始以来、14カ国で約1,650点の作品を制作し、渡航国は33カ国に及ぶ。台湾一周1,135キロで描いた「LOVE」や、ペルー全土約4,700キロを使った「アルパカ」などの大規模作品を手がけ、現在は北中南米11カ国を巡る「ELEVEN RUN 2026」プロジェクトに挑戦している。https://official.gps-run.com/profile.html

 

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