キングコングの西野亮廣さんが共同プロデューサーとして参画したブロードウェイ作品『CATS: The Jellicle Ball』が、第78回トニー賞でミュージカル・リバイバル作品賞を受賞した。
SNSでは「西野さんは実際に何をしたのか」という声も聞かれる。しかし、この疑問を理解するためには、まずブロードウェイにおける「共同プロデューサー」という役割を知る必要がある。

ミュージカル「Cats: The Jellicle Ball」の一場面 (Credit : Matthew Murphy and Evan Zimmerman)
ブロードウェイの共同プロデューサーとは何か
日本ではプロデューサーというと、作品の企画や制作現場を統括する立場をイメージする人が多い。一方、ブロードウェイでは資金調達や投資家との調整、広報活動、興行戦略など、作品を成立させるためのビジネス面を担う役割としての側面が強い。
特に共同プロデューサー(Co-Producer)は、リードプロデューサーを支えながら、資金やネットワークを提供し、作品の成功を後押しする存在だ。
ブロードウェイ作品には数十人規模の共同プロデューサーが参加することも珍しくない。作品の芸術的な評価は演出家や脚本家、出演者たちによって築かれる一方で、プロデューサー陣は作品が舞台に立つための環境を整える重要な役割を担っている。
そのため、「作品を作った人」というより、「作品を支えた人」と表現する方が実態に近い。
トニー賞受賞作を支えたプロデューサーチームの一員
『CATS: The Jellicle Ball』は、アンドリュー・ロイド=ウェバーの名作ミュージカル『キャッツ』を、ニューヨークのボールルームカルチャーの視点から大胆に再構築した作品として話題を集めた。
今回の受賞は、演出や出演者、クリエーティブチームによる挑戦が高く評価された結果だ。一方で、西野さんを含むプロデューサーチームもまた、そのプロジェクトを支えた一員である。
西野さんは作品がトニー賞を受賞した後に名前を連ねたわけではなく、受賞前の段階から共同プロデューサーとして参画していた。もちろん共同プロデューサーは西野さん一人ではなく、多くの関係者がプロジェクトを支えている。
それでも、世界最高峰の舞台芸術市場とされるブロードウェイにおいて、日本人がプロデューサーチームの一員として受賞作に関わったことは注目に値する出来事だろう。
今回のニュースは、「西野さんが作品を作った」という話ではない。しかし、トニー賞受賞作品を支えたプロデューサーチームの一員として名を連ねたことは事実であり、日本人がブロードウェイの事業面で存在感を示した一例として受け止められそうだ。
Text : Akiko Kudo
Editor-in-Chief, NY Biz. New York–based Broadway and performing arts writer with 30+ years of experience. NY Biz編集長。ニューヨーク在住。30年以上にわたり現地からニューヨーク情報を発信。幅広い分野をカバーしつつ、特にブロードウェイを中心とした舞台・パフォーミングアーツに精通。ttps://nybiz.nyc/broadway/