代理出産の歴史(49)〜代理出産に関するお問い合わせに対する回答(10)〜日本で話題の韓国での卵子提供、日本人患者を違法に誘導する残念な状況の警告(3)

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代理出産54

「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第126回

代理出産医療コンサルタントである弊社にいただくお問い合わせ件数でトップ5に入る代理出産とその歴史を4年に亘り連載、そして、現在、当シリーズ中にいただいた質問と回答をご紹介してきています。2022年12月の日本講演で、複数の参加者の方から、日本において、第三者介入の生殖医療に制限があり罰則も法的に課されているはずの韓国での代理出産と卵子提供の斡旋勧誘が、日本で話題になっているため、合法性について質問され、その後、この疑問が表面化したあと、今年2月には当勧誘サイトホームページの内容が変更され、韓国では違法であった卵子提供などの記述が完全に削除され、通常の生殖医療である不妊治療に絞られた記述のみになっていることをお伝えしました。

しかし、現在、23年4月末時点で、当サイトに、韓国で違法であるはずの代理出産、卵子提供、精子提供、産み分けなどのプログラムのメニューが再度、戻ってきている、と、日本の方々から報告がありました。筆者が確認したところ、“韓国での不妊治療”において上記の違法であるはずの内容が明記され勧誘されています。

どのような基礎を根拠に違反勧誘を表立って行っているのかを再検証するために、再度、韓国政府保健福祉部の生命倫理、及び、安全に関する法律(略称:生命倫理法)に関して、韓国の国家法令情報センターホームページを再確認しましたが、20年12月29日に一部改正、21年12月30日に施行されていることは報告した通りで、変更はありません。男女産み分けに関しては、以前にも報告した通り、生命倫理法の第23条(胚の生成に関する遵守事項)の2項の1.には特定の性を選択する目的で卵子と精子を選別して修正させる行為は禁止されています。刑罰として第9章罰則において第67条(罰則)1項に第23条2項に違反した場合は2年以下の懲役か3000万ウォン以下の罰金に処すると規定され、ドナー提供については、第23条3項に誰も金銭、財産上の利益を条件に胚や卵子又は精子を提供又は利用し、又はこれを誘引又は斡旋してはならない、と規定されており、刑罰としては第9章罰則において第66条(罰則)4項に第23条3項に違反した場合は3年以下の懲役に処すると規定されています。この法律は韓国法律第17783号、20年12月29日に公布されておりその1年後から施行することも附則として規定されています。

(次回は6月第1週号掲載)

さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子【執筆者】清水直子しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。

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