カイロプラクター DR. 石谷三佳「骨盤・背骨の歪みをリセット」第170回
常に勉強、手技や道具を使用しながら治療
今さらですが、あらためてカイロプラクターが何なのか簡単に説明したいと思います。
患者さんはそれぞれが悩みを抱えて私のクリニックへお越しになられます。しかし初めて来院される方でさえ、「カイロプラクティック」自体がどういったものなのかあまりご存じない場合もあり、また“どこか非科学的なものだ”と勘違いしておられるかたも少なくありません。
“自分はどのような治療を施されているのか”を十分に把握することはとても大切なことです。
欧米諸国では、カイロプラクターは「ドクター・オブ・カイロプラクティック」と称されています。まず、カイロプラクティク科医になるには、他の医師と同様、大学で理系の学士を取得した後、専門課程のカイロプラクティック科に進み、そこでさらに４年間の専門の教育を受け、修士号を取得します。「医師免許の取得をすること」が義務付けられています。この４年間は、医学部同様の教育を受けます。しかし、カイロプラクティック医学は西洋医学と違い、自然治癒力に伴う体の機能の向上が根本の思想のため、薬学の授業は少なく、その代わりの時間の多くを解剖学、生理学、神経学に充てています。そこで、「筋肉」「骨格」「神経」の障害などに焦点をあて、なぜ人は痛みを感じるのか、そしてどのようにそれを治療するのかなどについて、細かく学習します。人間の背骨や神経というのは、とても複雑な構造でできていて、一つ一つが人体のいろいろな箇所に影響を与えています。それらを熟知することが、痛みに対して適切な処置を施すための第一歩となるのです。
実際には、カイロプラクティック科医（＝カイロプラクター）が行う治療法というのは、非常に科学的な根拠に基づいています。カイロプラクティックは「健康的で活動的なライフスタイルを送るためには、健康な筋骨格系の機能が必要である」という定義のもとに成り立っています。
カイロプラクティック科医は、それら筋骨格系機能の治療するにあたり、注射や、メスまたは投薬といったものを一切使用しません。会得した技術を使って、ずれた関節を正常な位置に戻したり、損傷している筋肉や椎間板などの軟部組織を、手技や道具を使用しながら治療していきます。
それでも、膨大な量の研究や、リサーチに基づいた医学的な知識を学んでいくことは欠かせません。最新の医学的知識とリサーチを常に取り入れることが、われわれカイロプラクティック科医が良い治療をするには不可欠です。そのため、卒業後は、最新の技術や、技能を身に付けるための情報収集や学習のため、学会で勉強を続けていっています。
私たちは日常のほんのささいなこと（家事や園芸など）で背骨を痛めてしまいます。しかも一度背骨を痛めてしまうと、仕事や遊びの時、または、リラックス時、睡眠時にまで支障が出てきてしまいます。そんな不快感や苦痛を取り除くこと、それがわれわれカイロプラクティック科医の役割です。もちろん、損傷があまりにもひどい場合は、薬や手術が必要になる場合もあります。そうならないためにも、予防医学としてカイロプラクティックを利用することをお勧めします。
（次回は12月８日号掲載）
〈プロフィル〉石谷三佳（いしたに みか） 石谷カイロプラクティッククリニック院長、パーマーカイロプラクティック大学院卒、ハーバード大学医学部専門課程終了／米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員／2008「Chiropractor of the Year」受賞。2015「Bergen’s Top Chiropractor」受賞。
