帰国生の学校選びのポイント

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事前に学校訪問をして自分の目や耳で確かめることが大切

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

丹羽-11月-2018

中学生や高校生で帰国する場合、帰国後の学校選びがとても大切です。学校を選ぶ際に重視する点は、お子さんや保護者によって様々ですが、ここでは、学校の選ぶ際の手順と注意すべき点について説明します。

(1)情報誌やインターネットなどで学校情報を収集
考えられる帰国先にどんな帰国生受け入れ校があるのかを確認する。海外子女教育振興財団発行の「帰国子女のための学校便覧」は、全国の帰国生受け入れ校が掲載されているので便利です。

(2)いくつかの条件を定めて学校を絞り込む
学校を絞り込む条件として考えられる例は以下の通り。
●自宅からの通学時間
公共交通機関を利用した長時間の通学は、お子さんにとって負担です。
●公立校か私立校か
公立中学は住所を定めれば、いつでも入学できます。ただし、学校の様子を確認することが必要です。国私立中学や高校は入学試験があるので、お子さんの実力を考慮する必要があります。
●共学校か男子校・女子校か
帰国生は共学校志向が強いですが、男子校や女子校の良さもあります。
●大学付属校・中高一貫校
大学付属校は系列校への内部進学の比率や選考方法を確認する必要があります。中高一貫校も高校への進学に条件がある場合があります。
●帰国生数や全校生徒に占める比率
海外生活が長いお子さんにとっては、帰国生の多い学校の方が快適に過ごせる傾向にあります。ここでは、帰国生受け入れ高校の帰国生の数と全生徒に占める比率をまとめてみました。(海外子女教育振興財団発行「帰国子女のための学校便覧2018」より)

◆帰国生数の多い高校
1位  同志社国際 543人(65.3%)
2位  国際基督教大学 515人(68.1%)
3位  桐光学園 207人(12.0%)
4位  立命館宇治 241人(21.7%)
5位  桐蔭学園 184人(7.5%)
6位  南山国際 180人(88.2%)
7位  市川 168人(13.2%)
8位  頌栄女子学院 155人(23.2%)
9位  早稲田大学本庄 152人(14.9%)
10位 東京都立国際 145人(19.8%)
11位 茗溪学園 123人(15.6%)
12位 慶應湘南藤沢 120人(16.4%)
13位 國學院久我山 119人(6.5%)
14位 関西学院千里国際 118人(45.6%)
15位 広尾学園 110人(12.9%)
16位 渋谷教育学園幕張 104人(9.5%)
17位 土浦日本大学 103人(5.7%)
18位 かえつ有明 102人(18.2%)
19位 青山学院 95人(7.6%)
20位 成蹊 91人(16.3%)、啓明学院 91人(12.7%)

◆帰国生数上位21位以下で、帰国生比率10%以上の高校
啓明学園 72人(21.8%)
富士見丘 60人(20.2%)
名古屋国際 59人(12.6%)
慶應義塾女子 69人(10.4%)
自由学園 22人(10.1%)

◆帰国生の数が20人以上の公立高校
東京都:国際、三田、竹早、日野台
神奈川県:横浜国際、神奈川総合、鶴嶺
横浜市:東
静岡県:浜松北
愛知県:千種、豊田西、刈谷北
大阪府:住吉、千里
神戸市:葺合
※帰国生数が10人以上の公立高校は、全国で約30校ほどです。
●大学進学実績
進学を希望する大学への実績を確認しましょう。
●選考方法(入試科目や出願条件)
各校の募集要項で確認してください。
●英語教育の充実度
帰国生のみの学級を設置したり、英語のみ別クラスで受講させたりする学校もあります。また、他の学校より英語の時間数が多い学校や課外授業で英語を強化している学校もあります。海外での語学研修制度の有無や内容も確認しましょう。
●帰国後のサポート(補習やカウンセリング)
日本語力が不足している生徒には、日本語の指導を行ったり、授業の補習をしたりしている学校もあります。また、カウンセラーが学校生活のサポートを行っている学校もあります。
●部活動の種類や活動の様子
アメリカの学校に比べると種類が少ない場合もあります。例えば、吹奏楽部はあっても、弦楽器のできる部がないなど。部活動を継続したい場合には確認が必要です。
●施設や設備(冷暖房、無線LAN、寮の有無)
暖房はあっても冷房はないことが多いです。PCを全生徒に貸与したり、校内でWi-Fiが使えたりする学校もあります。寮を設置している学校なら、親の住所から離れていても入学できます。

(3)入学希望校のウェブサイトや入学案内パンフレットで学校の詳細を確認
これらは学校側が作成しているので、良いことしか書かれてないので、帰国生の親たちが編集・発行している情報誌なども参考にするとよいでしょう。ただし、それも個人の感想であり、自分のお子さんに当てはまるとは限らないことも念頭に置きましょう。

(4)メールや電話で質問
ウェブサイトや入学案内パンフレットに記載されていないことや不明な点については、学校に連絡して確認しましょう。この際の学校側の対応(返信の速さや有無、電話での話し方など)で、受け入れに対する熱心さが確認することもできます。

(5)一時帰国の際に学校を訪問
その学校で学ぶのはお子さんなので、必ず一緒に訪問してください。授業や施設見学のみでなく、休み時間や部活動の様子なども見学させてもらえると、より学校の雰囲気が分かります。ここでも学校側の対応が分かりますし、逆に学校側もお子さんや保護者の様子を確認し、受け入れ判断をしていることも覚えておきましょう。

(写真:名古屋国際中学校・高等学校)

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
◆米日教育交流協議会(UJEEC
Phone:1-248-346-3818
Website:www.ujeec.org

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