〈コラム〉顎の痛み─顎関節症

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カイロプラクター DR. 石谷三佳「骨盤・背骨の歪みをリセット」第201回

今年は、特に顎(あご)の症状で私のクリニックを訪れる方が増えました。新型コロナ感染対策でマスクをする機会が増えているからでしょうか。顔と口の周りが布で覆われ、耳にゴムをぶら下げると、意外と顎の関節の負担になっています。顎は、筋肉と関節と神経が集中している繊細な関節です。そして、微妙に入り組んだ形と複雑な機能をもっている部分です。あくびをしたら、口が閉じなくなった、閉まらなくなった、そのうちガクッと音がして勝手に閉まったが、その後もガクガク音がする、食べている時にズキっと痛い─など顎の痛みや発症の原因はさまざまですが、常に、食事をしたり、おしゃべりしたりするといった行為で連動して動いています。この顎の関節やその周囲が何かの原因で痛みや動きにくくなるのが顎関節症(がくかんせつしょう)です。

顎が思い通りに動かず、食べ物がかみにくい。顎を動かすと不快な音がする。痛みを感じて口が開かない。さらに症状は顎ばかりでなく、肩凝りとか、腕や指のしびれ、偏頭痛、耳や鼻にも不快感を覚えることもあります。普段は平気だけど、歯医者に行くと痛くなるなど。このように症状は広範囲にわたり、人によっては軽い症状から重い症状まで、個人差が大きいのが特徴です。

顎関節症の多くは適切な対処で、改善できます。重い症状の場合、放っておくと、進行して顎の機能が完全に破壊されてしまうこともまれにあります。症状があれば早めの診察をお勧めします。

顎関節症の代表的な症状
●顎関節やその周辺に異常を感じる。食べ物をかむ時に痛みや異常を感じる
●食事をしていると顎がだるい、口を動かすと顎関節に痛みがある、かみしめると顎関節が痛い
●口を開けたり閉じるする時に顎関節でカックン、コッキンというような音がする
●口が開けにくくなったり、口の開閉をスムーズに行うことができない
●口が左右にうまく動かない、開けにくい、顎が外れることがある
以上の症状のうち少なくとも一つ以上があるとき顎関節症にかかっている可能性が疑われます。症状は、悪くなったり良くなったりを繰り返します。

顎関節症が原因と見られる副症状にも注意を。代表的な症状以外にも、顎周辺だけでなく全身のさまざまな部位に症状が現れることもあります。
●頭痛、首や肩・背中の痛み、腰痛、肩凝りなどの全身におよぶ痛み
●めまい、耳鳴り、耳が詰まった感じ、難聴
●眼の疲れ、充血、涙が出る
●鼻の症状(鼻が詰まった感じがする)
●顎が安定しない、かみ合わせがうまくできない
●歯の痛み、舌の痛み、味覚の異常、口が渇くような気がする
●嚥下(えんげ)困難、呼吸困難、四肢のしびれなどが起こる場合もある

これら全てが顎関節症によるものとは限りませんが、とにかく専門医による診断をお勧めします。多くのカイロプラクティック医は専門的に顎の治療を行っています。専門的に関節機能を学んでいますので、ぜひご相談ください。

(次回は7月4日号掲載)

MikaIshitani〈プロフィル〉石谷三佳(いしたに みか) 石谷ヘルスセンター院長、パーマーカイロプラクティック大学院卒、ハーバード大学医学部専門課程終了/米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員/2008「Chiropractor of the Year」受賞。2015「Bergen’s Top Chiropractor」受賞。

【石谷ヘルスセンターウェブ】www.ishitaniclinic.com

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