〈コラム〉ニューヨーク州の家主/テナント法の抜本的変革

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テナントに対する保護が手厚くなる

最近ニューヨーク州が可決した法案により、家主/テナントに関する法律が劇的に変わろうとしています。この新法は、州全域のテナントの保護を広い範囲で強化する一方、家主の負担が大きくなる内容となっています。

予想通り、この新法の公正さ、影響と結果に関する見解は、テナント支持グループと家主支持グループとでは大きく異なります。しかしながら、新しく制定された法律はテナントびいきであると見られており、結果として近い将来、様々な家主グループが新法を相手取っての訴訟を起こすことでしょう。さらに、意図的ではない不首尾に対応するため、ニューヨーク州は現行の法律の改正をも行うことが見込まれています。このように、長期的にはまだ不確定要素が残っています。

新法に関しては、家賃規制のある(rent stabilizationといって、家主が望む市中価格の賃料に設定できない)賃貸アパートメントの家主とテナントへの影響をめぐる議論が大きく注目されています。しかし新法の多くは、コンドミニアムのようなフリーマーケット(家主が賃料を自由に決めることができる一般賃貸)の賃貸アパートメントを所有する家主にも影響を与えます。例えば、以下の新法は一般賃貸アパートメント(しかしそれに限らない)に適用されます:(a) 滞納家賃の支払い要求期限が3日以内から14日以内に延長される;(b) 要求通告から強制退去までの期限が3日後から14日後に延長される;(c) テナントを相手取った欠席判決(被告が出廷しない場合、原告に有利になるように下される判決)の場合、家主は家主の弁護士料を得られない;(d) 遅延手数料には上限が設けられる;(e) 保証金(敷金)は家賃1カ月分を上限とする;(f) 敷金を保持するためには、家主はテナントがアパートメントを退去した後14日以内に内訳書をテナントに提供しなければならない。家主がこの義務を怠った場合、家主は敷金を保持する権利を放棄しなければならない;(g) 裁判所が発行する退去令状の日付まで自己裁量で滞在できる期間 (discretionary stay)が6カ月までから12カ月までに延長される;(h) テナントは賃貸契約を締結した後から退去するまでの間にアパートメントの検査を行う権利を有する、等。

以上に述べた内容の結果、ニューヨーク州では、立退きに関する訴訟手続きが今より長くなり、テナントに対する保護が手厚くなるでしょう。家主はニューヨーク州における、コンドミニアムの一般賃貸を含む全てのテナントが新しい保護を受けられるよう、実務方法や賃貸条件を調整しなければなりません。フリーマーケットの一般賃貸アパートメントの家主は、新法を完全に理解し、意図的ではない違反ゆえの罰則を避け、確実に従うことが大切です。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は8月第1週号掲載)

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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