〈コラム〉ニューヨーク州の不動産譲渡税とマンション税の増税

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2019年7月1日より、ニューヨーク州では特定の商用不動産や居住用不動産(家、コンドミニアム、コープを含む)の売却をする時に支払う不動産譲渡税とマンション税が増税しました。

しかし、2019年4月1日までに契約を結んだ不動産の売買に付いては2019年7月1日以降にクロージングを迎えても、古い譲渡税率が適用されます。その場合、証拠書類を提出し(契約書そのものでは十分ではなく、頭金を支払った証拠や、契約書の登記等を見せる必要があります)、ニューヨーク州の税務財務部の税務長官が2019年4月1日より前に両当事者が契約締結したことを認める必要があります。

新しい税制では、300万ドル以下の居住用不動産又は200万ドル以下の商用不動産の譲渡に対しては、従来の0・4%のニューヨーク州不動産譲渡税が適用されます。しかし、300万ドルを超す居住用不動産又は200万ドルを超す商用不動産の譲渡に対しては追加で0・25%のニューヨーク州不動産譲渡税が足されるため、新税率の0・65%が売買契約に記載されている購入価格全額に適用されます。

さらに今回、ニューヨーク州は人口100万人を超える都市では、マンション税の増税も行いました。ニューヨーク市は明らかにその対象となっています。従来のマンション税率は1%で、購入価格が100万ドル以上の物件の場合、ニューヨーク州全域において適用されていました。しかし、新税制のマンション税は、ニューヨーク市のような人口が100万人を超える都市でのみ、購入価格が200万ドル以上の居住用不動産の譲渡に対し、価格に応じて拡大的に課税されます。例えば、200万ドル以上300万ドル未満の譲渡の場合では、0・25%が追加され、合計1・25%のマンション税が購入価格全額に対して課せられます。また、300万ドル以上500万ドル未満の場合の追加税率は0・5%で、合計1・5%の税率が購入価格全額に適用されます。そして、購入価格が上がるにつれ税率は拡大的に高くなっていきます。ニューヨーク州譲渡税は、ある一定の金額を超えた金額に対してではなく、購入価格の最初の1ドルから課税されます。

ニューヨーク市で不動産の購入や売却を考えている人は、ニューヨーク州不動産譲渡税とマンション税に加えてニューヨーク市譲渡税があることも忘れてはなりません。しかし、ニューヨーク市譲渡税の税率は据え置きとなっています。

このように、特にニューヨーク市で居住用不動産又は商用不動産を売買する人は、売買契約を締結する前に、予定している取り引きには全体的にどのような税金がかかるかを事前に把握しておくべきでしょう。
(弁護士 マリアン・ディクソン)
(次回は9月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉
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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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