〈コラム〉コンドミニアムとコーポのアパートメントにおけるペットの制約

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NYでは完全な意味でのペット禁止のコンドミニアム又はコーポは、ない

ペットの制約又はペットを禁止する条項は、しばしばコンドミニアムやコーポ物件を管理するための内規やハウスルールに含まれています。購入者は、ペットの制約ポリシーがある特定のコンドミニアム又はコーポ物件に魅力を感じるかもしれません。物件購入のために多額の支払いをした購入者はコンドミニアムの管理組合やコーポ役員会が内規やハウスルールに含まれるペットの制約を実施するだろうと期待しがちです。

しかし、ペットの制約が内規やハウスルールに明記されていたとしても、それが記載通りに守られることを保証するものではありません。具体的に言うと、ニューヨーク市人権法(New York City Human Rights Laws―“NYCHRL”)が内規及びハウスルールよりも強いからです。NYCHRLは障害を理由とする住宅における差別を禁じています。障害者には、住居における合理的配慮を受ける権利があり、その中にはエモーショナル・サポート・アニマル(介助犬や盲導犬のような障害を補助するための動物ではなく、心理的サポートをする動物のこと)と同居する権利が含まれています。障害者は、障害があるという証拠、そして障害があるためにエモーショナル・サポート・アニマルが必要だという証拠書類を提出する必要があることがあります。しかし、障害とエモーショナル・サポート・アニマルの必要性を実証した住人が動物と一緒に住む権利は、その他の住民のペット制限やペット禁止のビルに住みたいという願望や、別の住民が特有のエモーショナル・サポート・アニマルを飼っているかもしれないという恐れを上回ります。

障害者に提供されるべき配慮は合理的でなければなりません。従って、もしエモーショナル・サポート・アニマルが建物にダメージを与える、声がうるさい、他の住民に危害を与える等の場合は不合理なので禁止されます。

エモーショナル・サポート・アニマルは、介助犬のように専門訓練を受けたりライセンスを取得する必要はありませんが、障害者に心理的サポートを与えなければなりません。しかし、エモーショナル・サポート・アニマルをリードで繋いだり予防接種を受けさせる等、障害者に合理的な制約を義務づけることはできます。

エモーショナル・サポート・アニマルを必要としている障害者への配慮を怠ると、重い罰金、填補損害賠償、懲罰的損害賠償、弁護士費用等、多額の訴訟費用を支払う結果となることがあります。このような理由から、コンドミニアム管理組合やコーポ役員会は、ある人が障害とエモーショナル・サポート・アニマルの必要性を主張している場合、動物と同居することの合法性に異議を申し立てることには消極的なことが多いのです。

従って、ニューヨーク市には、完全な意味でのペット禁止のコンドミニアム又はコーポはありません。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は2月1日号掲載)

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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