つまずいて転んで長引く怪我を負ってしまったら、転んだ原因を見極め、証拠写真を撮っておく
ニューヨークの道には危険がいっぱいです。携帯電話に没頭して上の空の歩行者、あてどなく歩き回る観光客、競争するサイクリスト、スピード違反の車、屋台、募金集め、物乞い、犯罪者などなど…。ニューヨークを歩くには、常に周りを意識し続けることが要求されます。
これら全ての危険を避けながら目的地に向かう一方、私達は足元にも注意しなければなりません。破損したでこぼこの歩道、工事現場、蓋の開いたマンホール、地面のくぼみ、雪や氷、地面に落ちた物体、その他ありとあらゆる滑りやすい物質によって、つまずいて転倒して大怪我をする人が毎日のようにあります。ニューヨークを歩いていて、つまずいて転び、長引く怪我を負ってしまったら、その責任は誰にあるのでしょう? 医療費の請求書は誰が払うのでしょう? 働けなかった期間の賃金損失は、誰が補償してくれるのでしょう? 生涯に渡って怪我の後遺症が出る場合、誰が補償してくれるのでしょう?
まず最初に明らかにしなければならないのは、あなたがつまずいた原因は? 歩道は凍っていたか? 食べ物の包み紙等が捨てられていた? コンクリートの割れ目? 等の質問です。
ニューヨーク市では、不動産の所有者は、土地建物の周りの歩道の状態を安全に保つことが一般的に義務付けられています。所有者には歩道の修理と維持のみならず、雪、氷、ゴミ等による危険な状態を生じさせないようにする責任があるということです。もし不動産所有者が、誰かがつまずいて転ぶ可能性のある危険な状態であるという妥当な通知を受け取っていたならば、あなたの怪我に対する責任は不動産所有者にあります。不動産所有者は、建物の前にある歩道が破損している場合、その状態を知っているべきであり、その状態を除去する責任があります。雪が降ったり歩道が凍ったりしたら、短時間内に除去しなければなりません。ゴミも定期的に拾う必要があります。
しばしば、不動産所有者に加えて、歩道の横に店を構える店舗やレストランにも、歩道の危険な状態に対する責任があることがあります。その理由は、家主が建物の1階に入っているテナントに対し、店の前のエリアの安全維持を義務付けていることも多いからです。別の例では、屋台でホットドッグを売っていて、歩道にそのつるつるした包み紙が捨てられ、それで誰かが滑って転ぶというように、危険な状態の原因として、ストリートベンダーに責任がある場合もあります。
もしニューヨークであなたがつまずいて転び、長引く怪我を負ってしまったら、転んだ原因を見極め、証拠写真を撮っておきましょう。怪我の原因となった状況は、あなたが怪我をした直後に片づけられてしまう可能性があるので、すぐに撮ることが非常に重要です。この状態が雪、氷、ゴミなどのせいで一時的に生じた場合は、特に大切です。もし状況の写真を自分で撮ることができない場合は、できる限り急いで撮りに行きましょう。又は、弁護士に連絡を取り、調査を手伝ってもらうのが良いでしょう。怪我をした後、市に苦情を提出すれば、もし他の人が同じ危険地点で怪我をしたときに、証拠の助けとなります。
医療費、働けなかった期間の賃金損失、心身の苦痛…これら全てが積み重なれば大きなダメージとなりかねません。治療を受けたら、弁護士に連絡し、どのようなオプションがあるのかを相談するのが良いでしょう。
(弁護士 マシュー・プレソー)
(次回は11月第1週号掲載)
〈今週の執筆事務所〉
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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。