米国商標の譲渡

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米国特許商標庁に登録した全ての商標について見落としがないかどうか定期的なチェックをすることが必要不可欠

米国特許商標庁(The United States Patent and Trademark Office, 略称 “USPTO”)に登録された商標を所有する個人または会社は、登録後に義務付けられた提出物の締め切りを遵守して商標登録の管理を行わなければなりません。また、定期的にUSPTOの記録をチェックして、USPTOが管理している商標に関する情報と所有者が正確かつ最新であることと、USPTOからの連絡物が適時に届いていることを確認することが必要です。上述のことがおろそかになって、提出物の締め切りに遅れたり連絡物に適時に回答しなかったりすると、USPTOは商標登録が放棄されたと見なされたり、キャンセルされてしまうこともあります。

その他起こり得ることとして、個人又は会社が商標登録を別の個人又は会社に譲渡すると決めたとき、正式な譲渡書類をUSPTOに提出して記録する必要があることを、商標の所有者が見落としてしまうことがあります。これは例えば、法人が再組織や資産売却をするときに起こる可能性があります。社内再編成の書類又は売買契約書には、商標登録の譲渡について記されているのが一般的ですが、これだけでは譲渡を有効にするのに十分ではありません。USPTOはこれらの書類のみでは商標の所有権譲渡の証拠としては認めていないからです。USPTOには正式な所有権譲渡申請を提出する必要があり、その申請には商標権譲渡以外に事業資産の一部である顧客の好意 “Goodwill”が必ず含まれていなければなりません。

まず、譲渡を有効とするためには、この譲渡に含まれる商標、商標登録、商標が持つ権利、商標に対する権利、そして商標に関連する全てのGoodwillを明確にしなければなりません。次に、商標、商標登録、商標権、そして商標に関連するGoodwillの譲渡申請を別途作成し、USPTOに提出しなければなりません。Goodwillを譲渡申請に含めないと譲渡が無効となり、商標に関連する権利が失われ、商標の最初の使用日まで遡る権利を譲受人が取得することができなくなるため、十分に注意を払うことが大切です。

このように、商標の所有者はUSPTOに登録した全ての商標について見落としがないかどうか定期的なチェックをすることが必要不可欠です。これに関連し、営業権を含む商標登録と商標権の譲渡の際には、譲渡申請を別途USPTOに提出する必要があることを忘れてはなりません。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は3月第1週号掲載)

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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