オフィスリース契約内の移転条項(リロケーション条項)

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家主のリロケーション権利の制限や制約を交渉するのが良い

オフィスリースには家主の都合により、テナントが契約をしたオフィススペースから同じ建物内の別のオフィススペースへの移転を強制出来る条項(リロケーション条項)があるのが一般である事を知っておくべきです。オフィスの移転を強制出来る家主の権利はテナントから予め同意を得る必要が無いのが一般です。実在するオフィスリースも更新の時期に家主からリロケーション条項を「追加条項」として要求されるのが一般です。リロケーション条項は家主がその建物の賃貸容量を最大化するのが目的で、重要なテナントが希望するフロア全体の利用の対応のため等の理由が一般です。

家主に提案されるリロケーション条項の多くは、家主がその権利を行使することを選択した場合、元のリーススペースと同様の面積を持っている空間にテナントを再配置し、当初のレイアウトと同様のレイアウトで移転するスペースをセットアップする義務があるのが一般ですが、テナントは家主からいくつかの追加条件を確保できるのが理想です。追加条件の例は以下が考えられます:
(1)リロケーション条項を行使する場合、家主は十分な予告をテナントにする義務。テナントは再配置の移動を計画し、着手する十分な時間が必要です。
(2)リース期間ごとに、最高一度に移転を制限出来るのが理想です。
(3)下の階の景色は望ましくない事と、通りの騒音によって悪影響を受ける可能性があるとして、「X」より低い階への移転は要求しない約束。
(4)移転スペースが当初のスペースよりも小さい場合、テナントの賃料は低減されるべきです。逆にスペースが当初より大きい場合、賃料は元のままであるべきです。
(5)新しい空間での通信機器の設置のコスト、移動のために取得しなければならない保険、引っ越し業者への費用等を含むテナント移転コストは家主が支払うべきです。この点では家主は義務の制限しようとするでしょう。

リロケーション条項は最近のオフィスリースでは標準的であるので、全面削除される可能性は極めて低いですが、家主のリロケーション権利の制限や制約を交渉するのが良いでしょう。

(弁護士 マリアン・ディクソン)

(次回は6月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉

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(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

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