前もって準備を始めることが関係者全員にとって不可欠
オフィスリース契約期間が満了する時期に具体的なテナントが従わなければならない規則や手続きが含まれている場合もありますが、大概のオフィスリース契約には、特定の規則や手続きの詳しい説明は含まれておらず、テナントがオフィススペースから撤去しなければならない物や、原状回復についての義務のみ触れられているのが一般的です。従って、テナントはオフィスリース契約の期間が満了する前に、オフィススペースからの引き払いの手続きや規則などの必要な情報を、ビルの管理会社又は家主に問い合わせをするのがよいでしょう。これらの情報は、規則についての誤解が無いように、貸主又はビルの管理会社から文書でもらうことが肝心です。
一般的にオフィススペースから引き払うときの規則や手続きの内容には、次のようなものがあります。(a)引っ越しが出来る曜日と時間帯、(b)業務用エレベーターの使用規則と料金、(c)引っ越し業者のライセンス、許可証、保険の証明の規則又は床の保護等の要件、(d)ごみの破棄、(e)鍵の返却、(f)スペースの最終点検、(g)引き払いに先立つ家主への通知など。また、家主がテナントの引っ越し業者に求める保険の条件が盛り込まれた、保険証書のサンプルを入手しておくのも役立ちます。引っ越しをスムーズに計画するには、家主が求める保険の条件を確認し、引っ越しの日程を決める前に引っ越し業者の保険が十分である事の証明を家主に提出しなければなりません。
さらに、家主側からの求めがない場合でも、リース契約満了日又はその直前に家主又は家主のエージェントとオフィススペースの最終点検を行い、家主とテナントの両者が、オフィススペースがリース契約で定められた条件の下に返却されることに同意できるよう、あるいは点検でダメージや問題が見つかった場合は、直ちに対応できるようにしておくとよいでしょう。また、念のためにオフィススペースの返却時の状態の写真を撮っておくと、引き払いの後で何か問題が起こったときに証拠として使うことができます。
最後に、オフィスの鍵を返却する日時と特定な鍵の受取人をあらかじめ取り決めておきましょう。テナントは、特定の日に鍵の受取人に鍵とオフィススペースの両方を返却したという署名入りの受領書を受け取っておくべきです。
オフィスリース契約期間が満了する時期に問題無く引っ越しをするには、前もって準備を始めることが関係者全員にとって不可欠と言えるでしょう。
(弁護士 マリアン・ディクソン)
(次回は4月第1週号掲載)
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