Nagano Morita a Division of Prager Metis 日下武「ビジネスのツボ」 第117回
今シーズンの大谷選手の活躍は目覚ましいものがありました。普段はほとんど野球を観ない私ですが、初めてメジャーリーグに興味を持つようになりました。
私はアメリカ在住22年になり、日本にいる野球好きの友人からは、メジャーリーグを生で観られる環境にいて羨ましいと言われています。
ただ、野球を観戦したのは人生で1回です。しかも、ボストンのフェンウェイパークで、野茂とイチローの日本人対決が観られるというミーハーな考えでいったので、その2人以外の選手は全然わかりませんでした。野球に詳しい方からすると、はるか昔の試合ということがわかると思います。
私の周りには飲食店を経営している方がたくさんいます。スポーツ好きの方が多く、野球に関してはチームの戦績から各選手の成績、歴代何番など専門家のように私に説明をしてくれます。私の方は、打率などはわかるのですが、ピッチャーの勝率や防御率の計算などは未だによく理解していません。
そういったスポーツの数字の分析の強い経営者の方たちですが、意外と経営数字にアレルギーをもっている方が多いことに驚きます。PLという言葉を聞いただけでも、「経営数字はよくわかりません」と逃げ腰になります。お店作りやメニューなどは素晴らしく、お店は繁盛しているので、経営数字を分析するという必要性をあまり感じていないからかもしれません。
何かの本で「人間は比較を好む性質がある」ということを読んだ覚えがあります。スポーツの成績もそうですが、芸能人や有名選手などの年収などを比較したり、ランキングをつけたり、数字で分析することは人の心を刺激するようです。そうであるならば、PLも比較から入ると楽しく学べると思います。
PLは企業の収支を表します。簡単に言うと売上高から売上原価と販管費を引いたものが営業利益になります。売上高から各経費の比率を出して、標準値と比較することが分析の基本とされます。この標準値なのですが、高級志向とボリューム志向では割合が違ってきます。高級志向では人件費が高くなり、ボリューム志向では売上原価が高くなる傾向があります。飲食業界では売上原価、人件費の合計をFLコストと呼び、この二つの売上比率の合計が60%以下に抑えることが利益を出す指標と考えられています。
まずは、売上高、売上原価、人件費に目標値を作って、その数字に向かうように努力することにより、今よりもさらに効率的な経営ができるようになるかもしれません。
(次回は12月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) Prager Metis CPAs Boston/NJ マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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