「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第70回
ニューヨークも最近は寒さが厳しくなり、温かい飲み物が恋しくなる季節になりました。日本人はお茶を飲むという文化がありますが、アメリカでもかなりのお茶ブームです。
マンハッタンでは、緑茶、玄米茶、抹茶などをよく目にします。お茶といえば、大型のモールに行くと禅を感じる日本っぽい装飾のTeavanaというお茶専門店=写真=をよく目にします。100種類以上の茶葉を取り扱い、お茶に関する器なども販売していてアメリカ人にお茶を普及する意味でとても貢献しているなと感じていました。
よくよく調べてみるとスターバックスが2013年に買収しており、5年間で店舗数を379店舗まで広げたようです。お茶の普及には成功したようですが、一旦普及してしまうと消費者がオンラインショップでお茶を買う傾向が強くなったようです。店舗のほうは業績不振で全店舗を18年春までに閉店することを決定をしました。本業のコーヒーはブランディングをして高価で販売することができているようですが、お茶の場合は値段をあげることが難しかったという要因もあるようです。
よく考えてみるとアメリカにあるレストランでコーヒーやアイスティーを頼むと普通はチャージされます。ただ、日本食レストランにいくと高級店は別として、無料で抹茶入り玄米茶や緑茶がでてきます。無料で出てくるというのは、緑茶のイメージを下げているのかもしれません。消費者としては無料ということで得をした感じですが、日本人としては少し寂しい気持ちになります。スターバックスの強みは利益がでないと見込めば、撤退の意思決定も早いというところです。買収には6億2千万ドル掛かったといわれています。新しいことに挑戦する姿勢と失敗をしても次の成功につなげるという姿勢には、賞賛の声も出ているようです。お茶の市場は拡大しているようですので、Teavanaの店舗は閉店しますが、スターバックスの店舗内でTeavanaブランドは販売を続け、進化させていくようです。
最近、日本に出張にいったのですが、東京赤坂にあるスターバックスは素晴らしかったです。スターバックスの高級感と日本のおもてなしが融合した雰囲気で、忙しいオフィスビルの下にあるにも関わらず、お洒落にゆっくりとくつろげる環境でした。キャッシャーの後ろの壁にはTeavanaのロゴも輝いていました。マンハッタンでも日本のおもてなしと融合した店舗が増えることで、まだまだスターバックスのお茶の販売は上がっていきそうです。
(次回は1月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
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