〈コラム〉飲食店の売上計算 運営を考える上で売上を計算しよう

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第77回

ニューヨークの日本食レストランの開店は増加傾向にあります。日本からの進出や個人での独立など、その形態はさまざまです。

ニューヨークで飲食店を経営するにあたり、たくさんの方々に相談されるのですが、今までにないアイデアや既存業態を更に進化させたものなど独特のアイデアを聞くことが頻繁にあります。特に日本人のクライアントは、もともとある業態にアイデアを追加して、面白いものに変えるというのが上手に思えます。

その中でも個人で独立を考え、始めて飲食店経営者になる方もめずらしくはありません。そういう方の多くは、日ごろから食事は外食を中心としているので、消費者目線でビジネスを考え、値ごろ感やメニューのアイデアなど、素晴らしいものがあります。ただ、具体的に「売上はどのくらいで考えてますか」と質問すると、すぐに答えられない方が多いです。もちろん生き甲斐も大切ですが、ビジネスをするのであれば、利益を出さなければ続けていけません。飲食店を運営するに当たり、売上を考えるのは最初のステップかもしれませんので、計算方法の基礎について考えます。
簡単に売上を考えるには、次の公式で表されます。「売上=客数×客単価」客単価とは一人のお客がいくら支払ったかという平均金額をいいます。ファストフードのような形態より、お酒を出すような飲食店では客単価は高くなります。売上を伸ばすには、客単価よりもまず客数を増やすことが先決です。客単価を高く設定しすぎると始めは売上は良いかもしれませんが、リピートせずに客足が途絶えてしまいます。満足度をあげ、客数を増やす努力をすれば、健康な運営ができるといわれています。

客数を考える上で、更に深く公式を考えると店の客席数と客席回転率に分解することが出来ます。例えば20席の店で訪問客数が50人の場合は回転率は2・5回転になります。小さい店であれば売上を高くするには回転率を高く保つ必要があります。ただ、これは満席ということを前提に計算していますが、実際は4人テーブルで2人だけ座ることもありますので、客席稼働率という考え方を付け加えることになります。最終的には、売上=客席数×客席回転率×客席稼働率×客単価という計算になります。

これから、飲食店を経営したいという方も多いと思います。まず、飲食店の運営を考える上で売上はどれくらいになるか計算してみてはいかがでしょうか。皆さんの成功を祈ります。

business-kusaka-takeshi〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。
ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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