国語、数学、英語の3教科が主流だが、英語力を活かす方法も
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
高校入試では、書類審査、学力試験、面接などで入学者が選考されます。書類審査は、出願時に提出した中学校の発行した成績証明書や活動の記録などが利用されます。学力試験は、国語、社会、数学、理科、英語の5教科が課されます。面接は学校によっては課されない場合もあります。
しかし、帰国生高校入試では、面接はほとんどの学校で行われます。多くが受験生1人と数人の面接官による個人面接ですが、受験生数人が一緒のグループ面接を課す学校や保護者同伴の面接を課す学校もあります。学力試験は国語、数学、英語の3教科のみという学校が目立ちます。これは、海外生活において日本語での学習が十分でないことを配慮されているためです。ただし、以下のように学力試験は3教科のみでも、社会や理科に代えて作文や小論文を課す学校や、国内生と同様に5教科を課す学校もあります。
●3教科+作文(小論文)を課す
慶應義塾女子、早稲田大学高等学院、次の都県の公立高校(栃木、東京、神奈川、長野、岐阜、三重、広島、福岡、熊本など)
●5教科を課す
筑波大附属、筑波大付属駒場、次の道県の公立高校(北海道、青森、岩手、秋田、山形、千葉、富山、石川、静岡、愛知※、滋賀、和歌山、鳥取、島根、山口、徳島、香川、愛媛、高知、佐賀、宮崎、鹿児島、沖縄)など ※愛知県は、社会・理科は合否判定に利用しない。
また、帰国生高校入試では、以下のように特別な試験で受験できる学校もあります。受験対策学習が十分にできていない状態で帰国せねばならない場合や海外生活が長くなってしまった場合には、このような学校を受験するとよいでしょう。ただし、A)の学校の試験問題は、教科の知識も必要ですし、合格は容易ではありません。
A)適性検査・基礎学力テスト型
⇒早稲田大学本庄(I選抜)、青山学院、中央大学杉並、慶應義塾湘南藤沢など
B)作文型
⇒都立国際(現地校枠)、桐朋女子A、富士見丘、加藤学園暁秀、同志社国際A、立命館宇治A、関西学院千里国際 など
C)英語のみ、英語+作文型
⇒筑波大附坂戸、茗渓学園、暁星国際(インターナショナル)、渋谷教育学園幕張、かえつ有明A、啓明学園、桐朋女子A、桐光学園、南山国際、立命館宇治A など
D)面接のみ
⇒国際基督教大学(推薦・書類選考)、桐朋女子(推薦)、同志社国際(特別推薦)など
E)書類選考のみ
⇒鎌倉学園一次A、桐蔭学園A、名古屋国際(北米学校長推薦)など
C)のように英語力を重視する学校があるのも帰国生高校入試の特徴です。D)のような学校は、高い英語力を出願条件とし、面接のみで選考する入試を実施しています。
英語力を重視する学校における英語検定試験(英検やTOEFLなど)の扱いは以下の通りです。
(1)英語の試験を免除する基準として利用
文京学院大学女子:英検2級・TOEFL iBT 45以上
啓明学園:TOEFL受験者(1年以内)
(2)出願資格または選考の基準として利用
鎌倉学園(1次A):英検準1級・TOEFL iBT 79以上
国際基督教大学(推薦):英検準1級・TOEFL iBT 79以上
早稲田大学本庄(I選抜):英検・TOEFL・TOEICなど
同志社国際(特別推薦):英検準1級・TOEFL iBT 79以上
立命館宇治(推薦):英検・TOEFLなど
(3)入試問題の出題レベルとして公開
順天:英検準1級程度
桐蔭学園:高校2年生程度
高校入試では、英検2級に合格していると有利となり、英検準1級合格やTOEFL iBTのスコアが79だと学力試験がない推薦入試が受けられます。
このように英語力を重視するのは、英語力の高い帰国生は、大学進学においてよい実績を上げてくれることを期待しているからです。せっかく英語圏で学ぶ機会を得たのですから、海外在住中に英語力を向上させ、英語力を帰国時に有効活用したいですね。
(写真:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。現在は、「米日教育交流協議会(UJEEC)」の代表として、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学の北米担当などを務める。他にデトロイト補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)
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