志望する高校に編入学実施の有無と選考方法を確認することが必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
海外駐在員の保護者の帰国時期は企業が定めるため、お子さんが高校1年生の4月に入学できるように配慮してもらえるということはあまりありません。保護者が単身で残り、高校入試に間に合うように帰国するご家庭もありますが、せっかくの海外生活でもあり、英語力を少しでも向上させようということで、保護者とともに帰国するご家庭も目立ちます。その場合、高校に進学するためには編入学という形を取ることになります。今回は、帰国生の高校編入学の現状について、ご説明させていただきます。
帰国生受け入れ高校は、全国の約4900校の内、約460校と少ないのですが、編入学を行うのは、欠員が生じた場合のみという高校がほとんどであり、募集人員も若干名とか特に定めていません。編入学の時期は、随時という高校もありますが、年に2~3回(4月、9月、1月など)程度と定めている学校も目立ちます。中高一貫校では、1年生の4月も編入学という扱いになります。また、編入学を行う学年は2年生までという高校も多く、3年生での編入学を行う高校はごく少数ですし、中には1年生のみという高校もあります。
なお、以下の31校は、1年生の4月入学の受け入れはありますが、編入学は行っていません。
本庄東、早稲田大学本庄、専修大学松戸、千葉敬愛、開成、桜丘、芝浦工業大学附属、品川翔英、渋谷教育学園渋谷、中央大学杉並、早稲田大学高等学院、郁文館グローバル、慶應義塾女子、早稲田実業学校高等部、中央大学付属、明治大学付属明治、日本大学第三、慶應義塾、日本大学、法政大学第二、慶應義塾湘南藤沢、大阪学芸、大阪市立水都国際、帝塚山学院、大阪教育大学附属池田、帝塚山学院泉ヶ丘、啓明学院、関西学院高等部、東洋大学附属姫路、広島なぎさ、愛光
一方、公立高校では、16都府県(福島、千葉、東京、神奈川、富山、石川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、岡山、福岡、大分)で、帰国生の受け入れを特定校に定めていますが、これは1年生の4月入学のみであり、編入学は都道府県内のすべての高校で受け入れます。また、他の31道県では、すべての高校で編入学を受け入れますので、選択肢は多くなります。
次に、編入学試験について触れます。
入試教科は多くの高校で、国語、数学、英語の3教科を課します。作文や小論文を加えて課したり、地歴・公民(日本史、世界史、政治経済など)や理科(物理、化学、生物など)を課したりする高校もあります。一方、教科試験は課さず、書類選考のみ、英語のみ、作文のみを課す高校もありますし、作文は日本語でも英語でも良いという高校もあります。
また、ほとんどの高校で面接を課します。面接は日本語で行う高校がほとんどですが、英語での面接を行う高校もあります。
教科試験の問題は、編入学する高校の当該学年の生徒の履修範囲から出題されます。また、その高校の生徒とともに学べるかどうかを判断するために、定期テストの問題が利用されるというケースも目立ちます。中高一貫校では1学年上の教科・科目を履修している場合もありますので、注意が必要です。
最後に、高校編入学をすることが決まった時の対策をお伝えします。
まず、編入学を希望する高校に連絡し、帰国する時期に編入学の受け入れがあるかどうかを確認してください。編入学の受け入れがないことも想定されるので、志望校は多めに決めておくと良いでしょう。
受け入れがある場合は、出願資格や選考方法などを確認してください。その際、教科試験の出題範囲やレベルについても質問し、その高校で使用している教科書や進度などをお聞きし、受験対策の学習をすることもお勧めします。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
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