夏休み前に帰国する場合の中学・高校編入学

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不測の事態により通常と異なる対応をしている学校もあることに注意

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

未だ新型コロナウイルス感染症の終息は見られず、北米の多くの現地校は臨時休校となっています。このような状況下ですが、例年同様に現地校の学年修了に合わせて、本帰国される方もおられるでしょう。また、保護者の勤務先の都合で、急に本帰国となる方もおられるでしょう。

日本では、緊急事態宣言が解除され、児童生徒の登校が始まった学校もあります。しかし、通常通りの教育活動が行われてないケースも目立ちますので、夏休み前に帰国する場合には、編入を希望する学校の状況を確認されることをお勧めします。また、帰国後に2週間の待機が必要となることも考えられますので、余裕を持ったスケジュールを組まれると良いでしょう。

これから夏休み前や夏休み明けの編入学について、公立中学は帰国後に住民登録をすれば、地元の学校への編入学の手続きを進めることができます。国私立中学や高校に編入学を希望する場合には、お子様の学年での受け入れがあるのはどうかを確認する必要があります。通常は編入学を受け入れている学校でも、諸事情により今回は受け入れないということもあるかもしれません。また、編入学のために必要な資格、書類、入学試験などについても確認してください。不測の事態によって、学校のウェブサイトに公開されている内容とは、異なる対応をしている場合もあるからです。

出願に必要な書類は、通常期と同様だと思われますが、この内、現地校や日本人学校、補習授業校で発行してもらう書類については、臨時休校中のため、入手が困難となるケースも考えられます。現地校に早めに依頼することや、どうしても入手できない場合には、編入学を希望する学校に問い合わせる必要があります。
国私立中学と高校への編入学には、主な書類は、以下の通りです。公立中学への編入学の際は、(3)(6)は不要ですが、(1)(2)は必要です。

(1)成績証明書(調査書)
(2)海外在職証明書
(3)活動の記録
(4)英語力を証明する書類
(5)志望理由書
(6)推薦書

(1)の成績証明書は、海外で通学した公教育機関のものが必要です。公教育機関とは現地校または全日制の日本人学校を指します。補習授業校は日本の学校に準じた教育を行っていますが、公教育機関には該当しません。したがって、受験校が特に指定していない場合には、補習授業校の成績証明書は不要ですし、必要であったとしても、通知表のコピーで良いとされることが多いです。
成績証明書は、受験を予定している学校数より少し多めに持ち帰ることをお勧めします。受験予定校以外を受験する必要が生じた場合、入手することが難しいからです。
なお、成績証明書は、編入学時の直近の成績を含め、2~3年分が必要ですので、ハイスクールとミドルスクールの両方に依頼せねばならないこともあります。

(2)の海外在職証明書は、保護者の勤務先の発行した書類が必要です。帰国生中学・高校入試の受験資格は、保護者の海外勤務に伴い、海外で在住したことを条件としていることが多いからです。したがって、保護者が海外で勤務したことと、子どもを帯同したことを企業に証明してもらう必要があります。大使館や領事館は発行する海外在留証明書は無効であるケースもありますので、ご注意ください。

(3)の活動の記録は、現地校の成績証明書には、成績以外の記載がないため、提出を求める学校があります。学校指定の用紙に記入して提出するケースが目立ちます。記入する内容は学校によって異なりますが、課外活動や生徒会活動の記録、特技や資格などについて記入します。

(4)の英語力を証明する書類は、英検合格証、TOEFLやTOEICなどのスコア証明書を指します。中学入試では英検準2級、高校入試では英検2級に合格していると、英語の学力試験が免除されるとか、書類選考のみの推薦入試の受験資格が与えられるなどのアドバンテージとなることもあります。ただし、すべての学校で提出が必要ということではありません。

(5)の志望理由書も必ず提出が必要なものではありません。必要な場合には、願書の所定欄または学校所定の用紙に記入するケースが目立ちます。

(6)の推薦書も、推薦入試を受験する場合以外には必要ありません。提出が必要な場合、多くが書式は自由ですが、学校によっては所定の用紙での提出を求めます。多くの学校で、通学校の校長名での推薦書を求めますが、それに加え、課外活動状況を証明することのできる団体の長の推薦書や補習授業校の推薦書の提出を求める学校もあります。

なお、出願書類については、学校により必要なものや内容が異なりますので、必ず出願校にお問い合わせされることをお勧めします。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

 

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校と国際高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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