受験教科と英語力向上を図るとともに、志望理由書や活動報告書の準備、面接対策も必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
新型コロナウイルス感染症は終息することなく、その影響が長期化しそうな様相を呈しています。アメリカの現地校では、新年度もオンラインで授業を行うことを決めているところもあります。このため、補習授業校でも夏休み明けの授業もオンラインで進めるというケースもあります。
現地校でオンライン授業が継続することは、学力のみでなく英語力の向上に支障を来す可能性があります。通常であれば、授業時間のみならず、休憩時間や課外活動で生きた英語を使う機会がありますが、それが失われているためです。また、新型コロナウイルス感染症拡大によって、TOEFLや英検などの受験機会が減少していることも影響しています。
一方、補習授業校もオンラインでは、通常授業のような学習効果が期待できないということもあります。また、新年度開始が遅れた学校も多く、学習指導要領で定められた年間の学習内容をこなしきれない場合もあります。
このような状況に対し、帰国生受け入れ校では、2021年度帰国生入試について、どのような対応をしているでしょうか。
まず、日本国内で実施する帰国生入試は、今のところは例年同様に行われそうです。ただし、その時の状況次第では、帰国後の待機期間の制限などがあることも考えられますので注意が必要です。また、入試問題の出題内容・レベルなどを変更するという動きは見られませんので、例年同様の受験対策が必要です。したがって、補習授業校でカバーできない学習内容を家庭学習で強化していく必要があります。
一方、海外で実施する帰国生入試は取り止めるという学校があります。ただし、その代わりにオンラインで実施するという学校もあります。その場合、選考方法が例年とは異なる場合もありますので、志望校のウェブサイトにて最新情報を入手してください。オンライン入試では、より志望理由書や活動報告書などの書類や面接を重視する傾向があり、志望理由や海外での経験などが評価の対象となります。また、オンライン入試を受験する場合には、インターネット環境やカメラやマイクなどの機材、オンライン用のアプリなどを整える必要もあります。自宅での受験となりますので、受験会場とは異なり緊張感がないかもしれませんが、画面越しでは伝え難いこともあります。
英語力についても、帰国生受け入れ校は例年同様の基準を設けているケースが目立ちます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響下で修得の支障のある「話す」、「聞く」力の向上を図る学習を強化することをお勧めします。その対策も家庭学習で進めていくことになります。このような状況なので、オンラインで受講できる講座は多数あります。ウェブサイトで検索し、受講を検討されると良いでしょう。
また、このようなWithコロナ時代を経て、書類による人物評価を重視する傾向が強まると考えられます。海外生活では、勉学以外にも、部活動やボランティア活動、インターンシップなどの課外活動にも積極的に取り組むと同時に、志望理由を明確にするよう心がけることが大切です。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校と国際高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org