国語と地理歴史は全科目が新科目に変更
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
2022年度は高等学校の学習指導要領が改訂されます。ここでは、高等学校の学習指導要領における履修科目の変更について、文部科学省の資料を参考にしてまとめました。
改訂後の学習指導要領では、国語・地理歴史・公民・数学・外国語・家庭・情報に新科目が設置されます。また、理数科という新教科も設置されます。各教科の新設科目と、その内容は以下の通りです。
《国語》
共通必履修科目として「現代の国語」と「言語文化」、選択科目として「論理国語」、「文学国語」、「国語表現」、「古典探究」が新設されます。
「現代の国語」は、実社会・実生活に生きて働く国語の能力を育成する科目、「言語文化」は、上代(万葉集の歌が詠まれた時代)から近現代につながる我が国の言語文化への理解を深める科目、「論理国語」は、多様な文章等を多面的・多角的に理解し、創造的に思考して自分の考えを形成し、論理的に表現する能力を育成する科目、「文学国語」は、小説、随筆、詩歌、脚本等に描かれた人物の心情や情景、表現の仕方等を読み味わい評価するとともに、それらの創作に関わる能力を育成する科目、「国語表現」は、表現の特徴や効果を理解した上で、自分の思いや考えをまとめ、適切かつ効果的に表現して他者と伝え合う能力を育成する科目、「古典探究」は、古典を主体的に読み深めることを通して、自分と自分を取り巻く社会にとっての古典の意義や価値について探究する科目です。
《地理歴史》
共通必履修科目として「歴史総合」と「地理総合」、選択科目として「日本史探究」、「世界史探究」、「地理探究」が新設されます。
「歴史総合」は、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、近現代の歴史を理解する。歴史の推移や変化を踏まえ、課題の解決を視野に入れて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する。歴史の大きな転換に着目し、単元の基軸となる問いを設け、資料を活用しながら、歴史の学び方(「類似・差異」、「因果関係」に着目する等)を習得する科目です。
「地理総合」は、持続可能な社会づくりを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察する。グローバルな視座から国際理解や国際協力の在り方を、地域的な視座から防災などの諸課題への対応を考察する。地図や地理情報システム(GIS)などを用いることで、汎用的で実践的な地理的技能を習得する科目です。
「日本史探究」と「世界史探究」は「歴史総合」を、「地理探究」は「地理総合」の内容を発展的に学習する科目です。
《公民》
共通必履修科目として「公共」が新設されます。
「公共」は、現代社会の諸課題を捉え考察し、選択・判断するための手掛かりとなる概念や理論を、古今東西の知的蓄積を踏まえて習得するとともに、それらを活用して自立した主体として、他者と協働しつつ国家・社会の形成に参画し、持続可能な社会づくりに向けて必要な力を育む科目です。
《数学》
選択科目として、「数学C」が新設されます。
「数学C」は、現行の「数学Ⅲ」の「平面上の曲線と複素数平面」及び「数学B」の「ベクトル」を移行するとともに、現行の「数学活用」の「社会生活における数理的な考察」の「数学的な表現の工夫」を移行した科目で、「数学Ⅰ」より進んだ内容を含み、数学的な素養を広げるとともに、数学的な表現の工夫などを通して数学的に考える資質・能力を養います。
外国語・情報の新科目と新教科の理数科については、次回(2022年1月22日公開予定)で紹介させていただきます。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org