英語圏での生活で英語力の向上を図ることが必要
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
令和3年度が始まり、小学校の学習指導要領改訂後2年目を迎えています。新学習指導要領では、外国語が5・6年生の必修教科となり、それに伴い、入学試験に英語を課す中学校も増加傾向にあります。帰国生入試では以前から英語を課す中学校もありましたが、帰国生入試ではなく国内生として一般入試で受験する場合でも、英語が受験教科であれば、英語圏での生活で培った英語力を生かせることがメリットだと思います。特に、中学校受験の英語の試験の出題は学習指導要領のレベルを超えていることもあるので、英語力の高さは武器になります。また、書類選考と面接のみというような特別入試では、より高いレベルの受験資格を設けていることもあります。例えば、同志社国際中学校の12月A選考(専願)では、英検(注1)準1級以上、TOEFL iBT(注2)のスコアが68点以上、TOEIC(注3)Listening&Readingのスコアが730点以上などであることが求められています。
高校入試や高校編入、中学編入では、帰国生入試でも一般入試でも英語が課されることは一般的です。そして、難関国私立高校入試では、中学校卒業レベルを超えた出題をする高校もあります。帰国生入試で帰国生専用問題を課す場合には、難関国私立高校でなくても一般入試よりもレベルの高い問題が出題されることもあり、例えば、高校入試の英語の出題レベルを、英検準1級程度とか、高校2年生程度と明示している高校もあります。また、中学入試と同様に、書類選考と面接のみというような推薦入試では、より高いレベルの受験資格を設けていることもあります。例えば、同志社国際高校の特別推薦入試では、英検準1級以上、TOEFL iBTのスコアが79点以上、TOEIC Listening&Readingのスコアが780点以上などであることが、国際基督教大学高校の帰国生推薦入試では、英検準1級以上、TOEFL iBTのスコアが79点以上、TOEIC Listening&Readingのスコアが790点以上などであることが求められています。
大学入試では、多くの大学で英語が課されますが、帰国生入試では英語の試験を取り止め、その代わりにTOEFLなど英語能力検定試験のスコアの提出を必須とする大学が増加傾向にあります。また、英語能力検定試験のスコアは、出願基準として利用する大学もあります。TOEFL iBTのスコアを出願基準としている大学のスコアは大学・学部によって異なりますが、、60~70点台となっています。出願基準として利用する大学の多くは、提出されたスコアは出願基準の審査のみに利用し合否判定には利用しません。したがって、高スコアを獲得する必要はありませんが、合否判定に利用する大学に合格するためには高スコアが必要ですので、120点満点中の80点や100点を超えることを目標にすると良いでしょう。
なお、TOEFLなどの英語能力検定試験は、今年から大学入試センター試験に代わって実施された大学入学共通テストに利用されることも検討されています。また、就職試験や就職後の昇進試験などにも利用する企業も増加しています。
このように、英語力は帰国生入試ではもちろんのこと、帰国後も様々な形で必要となってきますので、英語圏で暮らしている期間を大いに生かして、一層の向上を図っていただきたいと思います。
(注1)英検:日本英語検定協会が実施する実用英語技能検定
(注2)TOEFL iBT:ETSが実施する非英語圏出身者対象の英語力判定テスト
(注3)TOEIC:ETSが実施する国際コミュニケーション英語能力テスト
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org