私立中学校の選び方のポイント

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私立中学の選択は各校の特徴を十分に吟味することが大切

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

丹羽5月-2-2019

前回は、帰国生約30%が帰国後に国私立中学を選択することをお伝えしましたが、今回は、帰国後の学校選びの参考にしていただくため、私立中学の特徴について、公立中学との比較も交えて、いくつかのポイントを説明させていただきます。

◎通学手段や時間
公立中学と異なり、自宅から遠方となる可能性が高いです。通学手段や通学時間に加えて、通学経路の環境の確認も必要です。また、通学可能な地域を特定したり、通学時間の制限を設けたりする学校もあります。寮があれば、自宅が遠方であったり、保護者が海外在住であったりしても入学できますが、中学生の年齢での親元を離れての生活となりますので、お子さんの気持ちや性格などを考えた方が良いでしょう。

◎独自の校風
私立中学にはキリスト教や仏教などの宗教系の学校があります。宗教の授業やお祈りの時間がある場合もありますが、ご家庭が信者である必要はありません。また、規律の厳しい学校がある一方で、自主性を重視する学校もあります。公立中は学区制であるため、生徒層や学校行事、指導方針などに地域の特性が現れている学校もあります。いずれの場合でも、お子さんに向いているかどうかを見極めることが大切です。

◎男子校、女子校
公立中学とは異なり、男子のみ、女子のみという学校もあります。共学校と異なり異性の目を気にせずのびのびと振舞えますが、異性とのコミュニケーションが苦手になることもあります。

◎制服
長年の伝統あるデザインを踏襲している学校や最新のトレンドを取り入れている学校が目立つ一方で、制服のない学校もあります。公立中学は制服のある学校が目立ちます。また、最近はジェンダーレスの制服を取り入れている学校もあります。

◎カリキュラム
文部科学省の定めた各教科の授業時数を変更し、特定教科の授業時数を増やしたり、進度を早めたりしている学校があります。英語教育や理科教育に力を入れている学校もあります。また、国際バカロレア(IB)の認定校もあり、高校の課程では、世界中の大学に進学できる資格のあるIBディプロマの取得できるプログラムが受講できる学校もあります。

◎英語教育が充実
英語の授業時間数を増やしたり、ネイティブスピーカーによる授業や英語検定試験対策の授業を行ったりしている学校や、英語力の高い帰国生のための特別クラスを設けている学校もあります。また、海外での語学研修や修学旅行を行っている学校もあります。

◎帰国生へのサポート
英語の特別クラス以外にも、日本語の補習や日本の学校生活に順応するためのサポートを行っている学校もあります。

◎中高一貫校
高校入試がありませんので、大学入試を目指してじっくり勉学に取り組んだり、部活動など課外活動に励んだりすることができます。一方で、他の学校より進度が速く、学習のペースについていけないということもありますし、成績が基準に達しないと高校課程に進学できないという学校もあります。

◎大学付属校・系属校・系列校
高校入試のみでなく、大学入試もないという学校もあります。ただし、大学進学のためには、中学や高校での一定ライン以上の成績が必要です。それを下回った場合は、大学受験が必要になりますし、同系列以外の大学への進学を希望する場合には、大学受験をする必要があります。系列校の場合、校名に大学名が記されませんが、付属校と同条件または、それに準じた条件で進学できる学校や指定校推薦入試制度で優遇される学校もあります。

◎施設・設備
ICT教育充実のため、PCやプロジェクターなどIT機器やWi-Fiなどの通信設備が充実している学校が目立ちます。中には、全生徒にPCを支給している学校もあります。新型コロナウイルス感染症による臨時休校中も、オンライン授業を行う学校が目立ちました。また、給食がない代わりに、食堂やカフェテリアなどがあり、食事を提供している学校もあります。

◎入学試験・編入学試験
帰国生の入学試験は国語と算数の2教科が主流ですが、英語力を重視し、入学試験に英語を課したり、英検合格級やTOEFLなどのスコアを求めたりする学校もあります。また、難関中学では国語・算数・社会・理科の4教科を課す学校もあります。編入学試験は国語、数学、英語の3教科が主流です。中高一貫校では進度が速く、編入学試験の出題範囲が学年相応以上という場合があります。ほとんどの学校で面接が課され、保護者同伴での面接も目立ちますので、保護者の面接対策も必要です。

帰国生を受け入れる学校は、海外子女教育振興財団のウェブサイトにて確認できます。また、各々の中学校の詳細情報は、各校のウェブサイトにて閲覧できます。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

 

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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