家庭で取り組みたい日本語学習
親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
日本と同様に、海外の日本人学校や補習校などでは4月から新年度を迎えています。進学・進級した子どもたちは、新しい教科書を手にして、喜びと期待に大きく胸を膨らませています。しかし、1学年上がることによって学習内容が難しくなります。特に週1回のみで授業時間の少ない補習校で学ぶ子どもたちにとっては、ハードルが高くなったことを感じることでしょう。この高くなったハードルを越えるには、子どもたちが努力するだけではなく、家庭でのサポートが重要です。補習校で出された宿題に取り組むのはもちろんですが、日本語力の向上のために、家庭で取り組んでいただきたいことをいくつか紹介させていただきます。これは、お子さんが補習校に通学していていない家庭でも同様です。

教科書の音読をする子ども
1)音読
毎日、時間を決めて教科書を音読しましょう。音読を継続すると、日本語の発音や発声が正しくなり、日本語の調子を感覚的につかむことができるようになります。また、記述内容の理解度を促進することもできます。そして、日本語が苦手な子どもでも、音読が上達する喜びを感じることによって学習意欲が高まります。
2)作文
作文を書くことで、語彙を増やすことができ、正しい文字や表記をすることができるようになります。また、論理的思考力を伸ばすことにもつながります。毎日、日記を書くことをお勧めします。
3)視写
文章を書き写すことで、字を覚えることができ、書くことが上手になります。また精読することもできます。さらに集中力も身につきます。教科書だけでなく、好きな本の文章を視写するのもよいでしょう。
4)漢字
漢字の学習によって、語彙が増え、表現力が豊かになり、理解力が深まります。また、漢字は繰り返し練習することをお勧めします。せっかく覚えた漢字も、復習しないとすぐに忘れてしまいます。

漢字の練習をする子ども
なお、教科書は補習校や日本人学校に通学していない場合でも、日本国籍があれば最寄りの領事館から無料(送料別)で入手できます。
上記のほか、親が日本語の本を読み聞かせることや、日本語のテレビやビデオ、動画などを視聴すること、そして、家庭内ではできる限り日本語で会話するなど、毎日欠かさず日本語に触れることも大切です。
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org