意欲を持たせ、繰り返し学習することが大切

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家庭で取り組みたい漢字学習

親目線・教員目線で語る日英バイリンガル教育

米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

前回は、日本語の習得において、音読、作文、視写、漢字の学習に取り組むことが有効であることをご説明させていただきました。その中でも、子どもが漢字を覚えられない、漢字の学習を嫌がるという悩みをお持ちの保護者の皆様が多いのではないでしょうか。今回は、漢字の学習について、より詳しくご説明させていただきます。

漢字学習をする子ども

漢字学習をする子ども

意欲を持たせること
漢字の学習で一番大切なことは、意欲を持たせることです。「漢字の学習は楽しい。」、「漢字が好きだ。」という気持ちを育むことで、もっと知りたい、もっと学びたいという意欲につながります。そのためには、子どもに「やればできるんだ。」という意識を持たせることが必要です。また焦りは禁物です。漢字力は一朝一夕に身につくものではありませんので、少しでもできたら、「認めて、ほめる。」ということを繰り返し、積み重ねていきましょう。具体的には、漢字を覚えたらほめる。漢字テストなどで少しでもできたらほめる。逆に、少しくらい漢字を忘れても、怒らない。漢字テストの点数が悪くても叱らない。子どもに意欲を持たせ、漢字学習を継続させていくことが重要です。

音読の徹底練習
漢字の学習は、まず読むことから始めることが大切です。具体的には、国語の教科書を何度も音読し、そこに出てくる漢字がスラスラ読めることが基本です。これは小学生のときだけでなく、中学生、高校生になっても続けることをお勧めします。声を出して読むことによって、漢字だけでなく、同時に日本語力も定着します。

新出漢字の覚え方と反復練習
新出漢字は学年が上がるにつれ、数が増え、難しくなっていきますので、覚えることがたいへんです。何度も繰り返し書くこと大切です。以下の方法で取り組んでみましょう。
1)「なぞり書き」2回
漢字ドリルなどの文字を指先を使って、正しい書き順でゆっくり丁寧になぞります。
2)「空書き」2回
漢字を指先を使って、机の上などに、書き順を唱えながらゆっくり丁寧に書きます。
3)「漢字ドリルの練習欄」4回
書き順どおりに鉛筆で書きます。
4)「漢字ドリルの例文」2回
漢字ドリルの例文をノートに書きます。このとき、例文の場面をイメージしながら書くと、さらに定着します。

また、覚えた漢字を定着させるためには、反復練習が重要です。1)24時間以内、2)1週間後、3)1か月後の3回、例文をノートに書いて練習しましょう。1か月後でも覚えていた漢字は定着しているということになります。覚えていなかった漢字は、1)24時間以内、2)1週間後、3)1か月後に練習するということを繰り返せば、必ず定着することができます。

漢字ドリルの学習

漢字ドリルの学習

なお、教科書は、補習校や日本人学校に在籍していないご家庭でも、日本国籍や永住権をお持ちであれば、最寄りの大使館・領事館などで無償交付されます。外国籍の方は、海外子女教育振興財団で購入することができます。漢字ドリルは、日系の書店やウェブサイトなどで購入することができます。

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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