〈コラム〉導院整体センター、鈴木規正「心身整体道場」第14回

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病院で治らない胸の痛み・呼吸難

今回は病院では治らなかったが、整体で良くなった典型的な例を紹介します。
Yさん(美容師、在米15年、42歳、スポーツ好きの日本女性):10数年前から一時的な呼吸困難や心臓の動悸がたびたびあり、緊急入院した経験も。数回にわたり病院で精密検査を受けたが、その度に医師から何ともないと言われた。それでも「継続的な短時間の発作、痛みや呼吸難が継続するので、心配なのです」ということでした。電話での内容から、「胸郭の歪み」が原因ではないか? と予想しました。
診察すると、Yさんの身体は骨盤(左転位)を起点に、上半身全体の捻転、左右の肩位置のアンバランスがひどく、左肩全体の筋肉硬直があり、5センチ(右肩に比べ)ほど上がり、逆に右肩は下がり、前方突出回転があった。従って、頚椎(首)も中心線から右に2~3センチほど牽引され右旋回ズレ、見た目にも辛そうな体型でした。
このような状態では、胸郭(肋骨により内臓を囲み、保護する役割)が、硬直・左右不整列・捻転のために、内臓(心臓・肺など)を圧迫し、「内臓器の機能低下」のみならず、「痛み・息切れ・呼吸難」を生じてしまいます。
これは内臓系の病気というより、お客様にシャンプーをする姿勢など、彼女の職業上の長年の積み重ねから来る体の歪みが原因の痛み・ツッパリ感でした。「長時間無理に身体を屈曲しながら、右手/肩を多く使う職業の人、美容師、歯医者、外科医、タイピスト、すし職人、調理人、骨董・古本屋、タクシードライバー、アマチュアゴルファー、コンピューター専門家など」に多くみられる症状で、長年の専門職の姿勢が形成した身体の歪み・アンバランスが原因です。西洋医学では検査結果に出ないと心因が原因と誤診され、「心身症(神経症)」扱いされてしまうケースですので、本人自身の自覚・認識が大切です。ただし、狭心症や肺塞栓、心筋梗塞、また胸膜炎や心膜炎、肺炎などでも胸の痛み、呼吸難を生じるので、そういう症状を感じた場合は専門医で精密検査をすることをお勧めします。
整体(東洋医学)では「心と体は同一」ですから、長期の心身疲労が胸郭の歪みを形成し、内臓器を圧迫。体は将来の病気予防を「警告」していると考えます。従って、整体施術の目的は「ズレを整復して身体を自然バランスに戻す」ことになるわけで、硬直した筋肉群を指圧緩解した後、骨盤転位の調整、脊椎の歪みの調整、肩の関節、左右の胸郭バランスを整復しました。
結果、初施術でYさんの呼吸は相当楽になり、体のバランスが回復し、ツッパリ感がなくなりました。通算3回の施術で体のバランスが回復、柔軟性もでき、胸郭の捻転もなくなり、呼吸難や心臓への圧迫感が消え、すっかり体調が良くなりました。Yさんは今では元気で仕事をしています。
(次回は5月4日号掲載)

Nori at NYGoCenter.〈プロフィル〉鈴木規正(すずき のりまさ) 指圧・整体師。「導院整体センター」院長。日本指圧医会/桜医会会員。米国で17年以上にわたって整体指圧を行い、慢性痛(腰痛、肩凝り、膝足痛)などの治療にあたり、また整体治療を通して心身の健康回復をサポートする。自身が開講する指圧教室では450人以上の生徒を育成。

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