〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

今後の移民法改正に対する期待 その2

前回に引き続き、米国議会に提出された移民法改正法案についてご紹介いたします。
今回の法案は、再選を果たしたオバマ大統領がラスベガスでのスピーチの中で、移民法改正案の指針を発表したその日に、4人の米上院議員(オリン・ハッチ(共)ユタ州、エイミー・クロブチャー(民)ミネソタ州、マルコ・ルビオ(共)フロリダ州、クリス・クイーンズ(民)デラウェア州)のスポンサーにより議会へ提出されました。加えて、ルビオ議員他7人の議員は、民主党と共和党両党が、包括的な移民法改正案の可決をめざすことで同意した、と発表しました。翌日には、専門スキルを保持する就労者のための移民法改正法案が紹介されました。この法案は、ゆくゆくはもっと包括的な法案に取り込まれる可能性が高いのですが、改正法案交渉のための一つの駒としても期待できるところです。以下、ハッチ上院議員のオフィスが公表したImmigration Innovation Act of 2013の概要をご紹介します(前回の記事で紹介したH―1Bの年間枠引き上げに関する項目は除く)。
◇ ◇ ◇ ◇
高度な専門スキルを持つ外国人就労者のポータビリティーを拡大
● 転職に伴う法的な障害とポータビリティーのコストを軽減。
● 外国人就労者が転職先へとうまく移行できるよう、明確な移行期間とシステムの確立。
● E、H、L、O、PビザカテゴリーのRevalidationシステムの復元。
■学生ビザ:外国人学生がdual intentを持てるようにすることで、米国大学で勉強する外国人学生が、米国での将来も考慮できるような環境を整える。
■移民ビザと永住権:前年度に発行し切れなかった永住権の枠を、翌年の永住権発行枠に追加できるようにする。雇用ベースの永住権発行対象枠から、特定の就労者(雇用ベース永住権申請者の被扶養者、米国のSTEM Advance Degree保持者、卓越した能力を持つ者、秀でた教授や研究者)をはずす。雇用ベースの永住権に関し、政府システムの遅延により前年度に使い切られていない移民ビザを翌年度のビザ枠へ追加することを可能とする。雇用ベースの永住権に関し、各国の年間発行上限数を排除。家族ベースの移民ビザについても国別の申請枠を排除。
■米国でのSTEM教育、ならびにSTEM就労者のトレーニング強化:H―1Bビザ申請費用と雇用ベースの永住権申請費用を改正。これらの費用を基に、補助金システムを形成。STEM教育の促進を図り、就労者が再度トレーニングを受けれるよう州が管理をするシステムを構築。
*こちらあくまでも法案段階ですのでご注意ください。
(次回は5月11日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2013年4月13日号掲載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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