「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第32回
最近のラーメンブームもあり、アメリカで飲食業で起業する方が増えております。そういった方々からいろいろな相談を受けているのですが、先日、とても興味深いお話を聞きました。そのお店の目標は、お客さんの夢を叶えるような店作りをしたいというのものです。そのお店の社長は勉強家で仲間と夢を叶えることを議題として毎週月曜日にお店を閉めて、勉強会を開いています。MBAレベルの経営論も勉強されており、お客さんの夢を叶えるための店作りにバランスト・スコアカードというツールを取り入れるという話を聞き、驚きました。1990年代初頭に、ハーバード・ビジネススクールの教授、ロバート・キャプラン氏とコンサルタントのD・P・ノートン氏が提唱した戦略実行や業績評価を行うツールがバランスト・スコアカードというものです。企業のビジョンや戦略からどのような行動を取れば、目標が達成できるか設定します。そして、それを戦略マップという図にして見やすく整理します。財務、顧客、社内ビジネスプロセス、学習と成長という4つの視点から業務管理指標を設定して、それをモニタリングすることによって、目標達成に近づいていくというものです。
目標を達成するときに、長期的計画をブレークダウンして、日々の行動計画を作成し、それを進捗管理するというのは、私も営業管理職をしていた時に実践していましたが、マッピングというものは使用していませんでした。その頃は、日本人だけではなく、中国人、韓国人の部下もいましたので、このようなマッピングでビジョンを伝えて、目標をシェアしていたならば、もっと時間を節約できたかもしれません。前述しました4つの視点というのもとても興味深いものです。特に顧客の視点を重視することは企業にとって重要なことと思います。私はいつも顧客とWINWINの状態を作ることができると目標達成がより早く近づいてくると考えています。それには顧客満足を超えた、顧客を感動させるようなサービスが必要かもしれません。それが人と人の繋がりを作り、企業の大きな力になると感じています。ただ、顧客感動を指標としてどのように測るかは疑問ですが。
実際、バランスト・スコアカードというツールを本格的に使用するには、かなりの労力がかかると思いますが、目標を図にして、ブレークダウンするくらいなら、試してもよいかもしれません。皆さんの成功を祈ります。
(次回は10月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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