〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第70回

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まずは基本を見直してみましょう

dodl世の中には実にたくさんの“ゲーム”がありますが、ルールが理解できるとゲームの楽しみ方がぐっと深まり、広まってもきますよね。
紳士服飾についても同じことが言えるのです。ただ、日本における紳士服のビジネスに関しては、シーズンごとの流行の創出とセンスのアピールを最も重要視しており、反面、紳士服飾の基本についての知識やインテリジェンスの面をあまり重要視していないように思えるのです。本当はこの大切な部分、紳士服飾の基本的知識を子供のころに学べるといいんです。そして大人になり、さまざまな経験がプラスされ、子供のころ学んだ服飾知識との相乗効果で、さまざまな着こなしのアイデアが浮かんでくるようになり、年齢とともに自分らしい着こなしができ上がってくるんです。
この国のインテリには世界的レベルの方がたくさんおられ、そのためにインテリ向け紳士服飾市場がちゃんとあるのです。クラシック、トラディショナルなどといわれている紳士服がそうなんですが、そうしたカテゴリーの服を取り扱う紳士服店があるタウンには、必ずと言っていいほど名門大学やハイスクールがあるんですね。
彼らが伝統的に好むのは天然繊維と天然皮革。ウールや綿、シルクそして牛革の類いは、人類が何千年もの昔からの“付き合い”があり、着用する人と共に歴史を刻んでいける素材であることが証明されています。それ故当地の一流男性ビジネスマンは紳士服飾を重要視される方が多いのですが、日本のビジネスマンにはまだあまりそうした空気は醸成されてはおらず、逆に紳士服飾を軽視されている方もまだまだおられるようです。軽視される理由は、やはり“ルール”を知らないためでしょう。そのために“良い服のどこが一体どう良いのか”が理解ができないのです。正しい知識を身に付けることは今からでも全然遅くはありません。ただし、信頼できるプロフェッショナルに頼ること。インターネットや服飾誌はまだまだ玉石混交ですから…。(次回は9月第4週号掲載)
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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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