〈コラム〉集夢計画33 「集夢計画がとりなす縁」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第38回

0913-Lin Shih pao

陳鳳文さん(前列中央)、左横に台湾・総統夫人の周美青氏とアカペラの皆さん

 5月の「ザ・ピンク“いいね”カー」の終了後、講演の依頼が舞い込みました。「経済・科学の振興と文化教育の多元化」と何やら堅い集まりの様子。アーティストには不向きと思いながらも話を聞いてみると、座談会のメンバーに知った名前が。テレビプロデューサー兼作家のモニカ・リューは、10年前に私の本を執筆してくれた古くからの友人。もう一人は、Vocal Asia理事長の陳鳳文さん。彼女とは初めてでしたが、慈善事業家という肩書に興味を持ち引き受けることにしました。
8月17日、会場はクイーンズのフォーポインツ・バイ・シェラトン。モニカの司会で陳さんと対談しました。彼女は靴の製造販売で成功し、ネットで世界中に顧客を増やし売り上げを伸ばしているやり手企業家。そして、仕事の傍らで熱心に取り組んでいるのが、アカペラの普及を目指した慈善事業。彼女が主催するVocal Asiaは、これまで韓国、香港、シンガポール、上海で音楽祭を開催しています。2年前に台北で招待されたアカペラカフェの話をすると、何とその店も彼女が作ったのだとか。
私は「音楽は自然の一部」と考えており、作品にも度々登場します。2005年に制作し愛知万博で展示した「智恵の門」では、自分で録音してきた川や森などの音を作品中に表現しました。会場で、アカペラ音楽祭のビデオが流されたのですが、その迫力は、楽器もなく人の歌声だけとは思えないほど、美妙な声と声の融合による饗宴でした。人間は、大昔から声だけでも無限の世界を表現し、それは現代を生きる私たちの本能をも刺激する不思議な力を持つと感動しました。
企業家・作家・芸術家という奇妙な取り合わせの対談でしたが、私の作品と陳さんのアカペラをコラボして舞台を作ろうという話や、モニカの手による私の物語第2弾など、楽しみな夢が広がった一日でした。(次回は11月第2週号掲載)
ShipPaoLin-1 〈プロフィル〉 林世宝(リン・セイホウ) 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック】www.facebook.com/lin.shihpao?fref=pb&hc_location=friends_tab&pnref=friends.all

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