〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第72回

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紳士服における世界の中心地、NY

dodlこの街ニューヨークは、紳士服における世界の中心地であり続けて久しいのですが、高級紳士服メーカーと言えばイタリアのメーカーが多いのですが、どうしてなのでしょうか!? アメリカにもまだ少なくない数の高級紳士服メーカーがビジネスをしてはいますが、イタリアのメーカーが目立っておりますよね…。
アメリカが不景気やインフレに悩まされ始めた1960年代後半以降、製造業の海外への移転シフトが始まりました。紳士服縫製メーカーの移転先、提携先の多くはイタリアでした。その理由は、古代ローマ帝国以来の服飾に対する優れた美意識と作製技術、そしてとりわけ第二次世界大戦の敗戦国イタリアの労働賃金の安さが魅力だったのです。21世紀となった今日、アメリカの小売業者とイタリアの縫製メーカー各社は、緊密さを増しつつも、今度は自らが海外移転を始めているイタリアの縫製メーカー各社との新時代におけるWIN―WINな関係を模索し出しているところなのです。
ここで皆さまへのご提案なのですが、この街ニューヨークで紳士服の基本について、ぜひ一から勉強されてみられることをオススメしたいのです。失礼を承知の上であえて申し上げますが、日本で学ばれた“クールビズ”ですが、日本でお召しになられたものがこちらで違和感なくお召しになることが出来ましたでしょうか? ビジネス用なのに、ボタンの色が黒だったり、ワインカラーだったり、衿越しがものすごく高かったり、衿が二重になっていたり…。そのようなデザインやディテールのシャツがこちらの小売店でビジネス用のシャツとして売られておりましたか? 外国人が妙な着物の着方をしていますと、皆さまは必ず反応されるはずです。それと立場が“真逆”なのが現在の私たちなのです。ホンモノを見られておくと、一つ芯、軸となるものができるのですが、これが大切なのです。これまでの人生におけるご自身の装いを見直される良い機会なのだと考えていただけたらと思うのです。それではまた。
(次回は10月第4週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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