〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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今週は「シンデル法律事務所」

L―1保持者を雇用している会社への移民局による会社査察が現実に(その2)

前回に引き続き、移民局により最近開始されたL―1保持者を雇用している企業に対する予告なしの会社査察について紹介します。
まずそのL―1の監査目的ですが、H―1B保持者を抱える会社への監査とほぼ同様で、移民局へ提出されたL―1申請が、真実に基づき、正確で、詐欺が無い事を確認する事がその最大の目的です。前述の通り、会社の存在を確認する事で会社の実態そのもの及びビジネス活動の確認を行います。更に会社でのL―1ビザ所持者の就労状況を確認する事で申請書に記載された職務内容に矛盾が無いか、等も確認します。
具体的には、監査官はL―1従業員の肩書、職務内容、給与額、更にはL―1従業員と同様のポジションに就いている従業員の情報について質問する事が考えられます。更には、L―1従業員の学歴、過去の職務経験、アメリカにおける自宅住所、また家族構成なども聞く事があるでしょう。例えば、監査対象の従業員がL―1Aビザ保持者である場合、その従業員は実際に管理業務を行っているか、単なる事務作業を行っているのではないかなど疑いを持って質問を投げかけてくる事もあるかもしれません。また給与額そのものについても、実際の職務内容やL―1従業員の経験に見合った金額となっているかも確認する事でしょう。
また、監査官は監査を通してL―1従業員に対してのみではなく、そのスポンサーとなっている会社のビジネス活動の内容そのものにも質問を行う事でしょう。更には会社の年間売り上げ、アメリカ国内のスポンサーとなっている会社、親会社また関連会社などの従業員数を聞かれることも想定されます。また、そのビザをスポンサーしている会社が実際に申請書類に署名をし、移民局へ正当に申請したか、等についても聞いてくる事でしょう。
監査官は会社における監査が終了した後も追加の情報を収集したりなど、更なる調査を継続しているようです。会社のウェブサイトやインターネット上の書き込みなども引き続きの調査対象となる可能性はあります。それら監査を通して仮に監査官が申請書の内容と実態との間に矛盾を見つけ出した場合、ケースを取り消す旨の通知をビザスポンサー会社に送る事となります。ただ、その通知を受け取った時点では、まだスポンサー会社側はその通知に対して異議を唱える、または修正申請を行うなどのチャンスが与えられる事でしょう。
(次回は11月第2週号掲載)

sindel_faceup〈今週の執筆者〉
弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law)
NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員
アメリカ移民法弁護士協会会員
1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。

〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800
Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com

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