〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第9回

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着床前診断9~性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには(3)~

生理3日目のホルモン値や卵胞数がベースライン 治療法や排卵促進剤の量などの基礎になる

前回のリポートでは、性染色体(男女産み分け)と22対の染色体異常を調べる着床前診断を成功させるために知っておくべき治療の基本として、自分の生殖能力をまず知る、そして、最も重要な生殖能力の情報は生理の3日目の検査から得られる、と説明しました。
今回は生理の3日目の検査とは何か、どうしてこの検査が重要かを説明いたします。
米国ではこの生理の3日目のホルモン値(FSH、E2、LH)、そして卵胞の数の結果をベースライン(基本値)と呼びます。つまり患者様の生殖能力を示す数値です。特にこの数値は加齢が加速化する35歳以降は、数カ月でも変化し、38歳以降は1カ月違っても治療のためには、正確な数値とは言えなくなりますので、体外受精を伴う性染色体を含む23対の染色体異常を調べる着床前診断を望む性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を行なう場合、および通常の不妊治療のための体外受精を伴う場合も、直近の生理の3日目の数値が必要です。また3日目でなくてもAMHという検査によって生殖能力を知ることができます。特に、避妊ピルを服用して意場合は、生理の3日目のホルモン検査項目であるFSH値に誤差が出てくるため、AMHを検査します。これらのホルモン値の検査は血液検査にて行なわれ、アントラル卵胞という卵巣にある卵胞数を検査するためには内診が行なわれ、超音波が使用されます。
この生殖能力を調べる検査結果により、排卵促進剤への反応の期待値、妊娠成功率が予想できます。また、このベースラインをもとに適切な体外受精の治療方法論、排卵促進剤の種類と量がドクターから提示されます。ホルモンの血液検査は非常に重要ですが、正しいアントラル卵胞数を知ることは更に重要だと言われています。この数により、排卵促進剤の量が変化してくるからです。排卵促進剤投与後のホルモン値E2は卵胞数との掛け算になるため、不妊ではない健康な女性が性染色体を含む(男女産み分け)23対の染色体異常を調べる着床前診断を望む場合にありがちな卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を防ぐためにも、適切な量の排卵促進剤を服用することは重要です。
元来の各患者の卵胞の質に併せて、各患者のベースラインを基礎に適切な方法論、指示と調整を行うことは、より良い状態の卵胞に育て、受精する能力にも影響を及ぼすものです。
次回は、性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功に導くための排卵促進剤投与開始後の重要点について説明いたします。
(次回は9月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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