〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第10回

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着床前診断10 ~性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには(4)~

管理する生殖内分泌科専門医の判断、能力、ケアが重要

前回のリポートでは、性染色体を含む23対の染色体異常を調べる着床前診断を望む性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには、まず、卵胞を良い状態で育てることが基盤となり、生殖能力の基本情報である生理の3日目の検査結果、ベースライン(基本値)をもとに、ベストの方法論を決定することが重要である、と説明しました。
今回からは、サイクル開始からの重要な点を説明します。
排卵促進剤の投与開始日には、投与開始前に必ず基本検査(血液検査と内診)を繰り返します。体外受精サイクル前の生理の3日目のベースラインをもとに一旦決定した排卵促進剤量で問題が無いか、また、スムーズな体外受精サイクルの障害になる子宮内のシストの存在など予期せぬ問題がないか、そして卵胞が左右の卵巣に幾つずつあるかを確認し、血液検査結果を再審査後、その日の夜から排卵促進剤の開始となります。血液検査結果は、生殖医療専門のクリニックでは数時間以内に結果が分かり、ドクターが血液検査結果をレビュー後、その夜からの排卵促進剤の開始を指示します。通常、この日の血液検査はFSH、E2、P4、LHの4科目の検査を行ないます。
前回、各患者の卵胞の本来の質に併せて、各患者のベースラインを基礎に適切な方法論、指示と調整を行うことが、より良い状態の卵胞に育て、受精する能力にも影響を及ぼす大切なことである、と説明しましたが、同時にこの緊密なモニターも成功の鍵である一つの要素です。このステージを管理するのは生殖内分泌科専門医であり、当担当医の判断、能力、ケアが各患者の生殖能力に加えて、成功のためには必要になってきます。
優秀な生殖内分泌科専門医とは産科医同様、まず第一に、いつでも連絡が可能な医師です。赤ちゃんがいつ産まれてくるかは帝王切開で予定する以外は分からないように、生殖医療は各患者の反応により卵胞の育ち方も違う上に、採卵は最適な時期があるため、7日間クリニックは患者のために開いている必要があり、優秀なクリニック(生殖内分泌科専門医)は緊急時にも連絡できる体制になっています。第二に、日進月歩を続けている比較的新しい医療分野である生殖医療において、調査、研究、当医療界での臨床レビューを怠らず勉強し、より正確でより進歩した治療を体得している医師を選ぶ必要があります。この二つは毎年政府(CDC:米疾病管理予防センター)に提出する患者数、妊娠成功率に表れています。 (続きは次回へ)
(次回は10月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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