〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第11回

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着床前診断11 ~性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには⑸~

排卵促進剤投与開始後は緊密で適切なモニターが必要

 

前回のリポートでは、性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断を成功させるためには、サイクル開始後に何が重要な点であるかの説明、排卵促進剤の投与開始日には血液検査(FSH、E2、P4、LHの4科目)と内診から始まることをお伝えしました。
排卵促進剤投与開始後は、緊密で適切なモニターが必要です。これは、以前から繰り返し説明している卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を出来る限り回避するためだけではありません。受精のためにより良い状態の卵胞を成長させ、最終的には妊娠に結びつかせるための体外受精の過程で重要な要素のひとつと言えます。
モニターは血液検査(E2、P4)と内診によって成り立ちます。卵胞の成長の速度を見ながら、より良い状態の卵胞に育つように慎重に排卵促進剤の量を調整していきます。卵胞の質は、各患者様の生殖能力が基盤となりますが、投与する薬の種類、薬の量、タイミングによっても、変わってきます。例えば、同じ植物の種を使用しても、水、肥料、日光量によっても花が咲くタイミングや美しさが違うのと同様です。つまり生殖内分泌科専門医による緊密なモニターと指示が鍵となります。特に、卵胞が14ミリほどに達した後は、毎日のモニターが必要になってきます。卵胞は成熟したところで採卵されますが、成熟に満たない状態も、成熟しすぎて大きくなりすぎている状態のものも受精には適しません。卵胞の成長の速度、つまり排卵促進剤への反応は患者様によっても違い、更に、同患者様においてもすべての卵胞が同じ速さで成熟しないので、毎日の担当専門医の適切な判断が重要です。そのため、体外受精を扱うクリニックは7日間開いている必要があります。医師の予定により週末や休日にモニターができない、もしくは採卵を行わない、というクリニックは要注意です。体外受精を扱う優秀なクリニックは、培養室のメンテナンスなどでブロックする以外は、患者様が体外受精サイクルを開始以降、年中無休です。
次回は、適切なモニターを経て、採卵に向けて重要な点について説明いたします。 (続きは次回へ)(次回は11月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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