ツイードのジャケットがお勧め
冬本番、寒くなってきましたね。さて、そうなりますと、がぜん注目されるのがツイードのジャケットやオーバーコートでしょう。ツイードはスコットランドの原産。決して派手さはないのですが、渋くて丈夫、いかにも“男の服地”といったたたずまいが魅力なんですね。
近年においては、建物内の温度がほぼ一定しているため、かつてほどにはガッシリと重い生地で仕立てられたものを見かけなくはなりましたが、もし、年齢が30代後半、40歳近くになられているのでしたら、昔ながらのヘビーウエートのツイード地でスリーピース、それが無理ならせめてジャケットをお求めになられておくことをお勧めします。必ずや生涯にわたるお付き合い、良き友達のようなジャケットとなることでしょう。ツイードはスーツで作ったからと言って、スーツで着ずにバラして活用できるのです。
ツイードにも地域によってさまざまな種類がありますが、中でもハリスツイード(Harris Tweed)と呼ばれる、スコットランドの北、ハリス島原産のツイードをお勧めいたします。最初の何年かは生地をはじめ、硬いのですが、ある年、突然こなれた感じに柔らかく変化するのです。流行だから着るのではなく、自身と共に歴史を刻んでいく、また服を手入れをしながら育てていく、それこそが男の服の本質なのです。こうした特徴を持つ服地故、ウールのスラックスに蝶ネクタイ姿も似合うし、お休みの日にはデニムにタートルネックのセーターを合わせもいいのです。もちろんボタンダウンシャツとの相性もいいですし。
先日お亡くなりになられた高倉健さん、主演されたたくさんの映画の中でツイードのジャケットが準主役、助演賞ものだったと個人的に思っているのが、「冬の華」です。高倉健さんのヘリンボーンジャケットの着こなしがストイックでとても日本的だと思うのです。機会がありましたら、どうぞご覧になってみてください。
(次回は1月17日号掲載)
〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。