〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

0

大学入試改革で高校生活が様変わりする

教科の枠を超えた総合的な学力と高校時代の経験が重視される

昨年末に中央教育審議会が文部科学相に大学入試改革案を答申しました。
大学入試センター試験は、2種類のテストに替えるとされています。一つは、高校教育の基礎的学習の達成度を把握するための「高校基礎学力テスト(仮称)」で、2019年から実施予定です。高校2・3年生の希望者を対象に年に2回程度(夏〜秋)に実施され、国語、数学、外国語、地理歴史、公民、理科の6教科が課されます。もう一つは大学教育を受けるために必要な能力を把握するための「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」で、2020年から実施予定です。大学受験生を対象に年に複数回実施され、高校基礎学力テストのような教科型に加え、複数の教科を組み合わせた合教科型、教科の枠を超えた総合型も導入し、将来的には教科型は廃止されます。また、これらのテストの外国語はTOEFLなど外部試験の活用が検討されています。
一方、各大学で実施されている個別試験は、受験生の「主体性・多様性・協調性」を重視して選抜する方式に転換することを提言しています。具体的には、面接、小論文、集団討論を実施し、部活動や課外活動の実績なども加え、高校時代にどのような経験をしたかを重視する「多面的な判定」とするべきだとしています。また、学力テストをする場合には記述式・論述式で出題し、客観式の問題は避けることや、大学入試センター試験に代わるテストの成績の活用も勧めています。一方、AO・推薦入試など学力を問わない入学者選考をする場合にも、「高校基礎学力テスト(仮称)」の成績を活用することを求めています。
このように、中央教育審議会が答申した大学入試改革案が実現すると、大学入試は現行とは大きく変わります。このことによって、大学受験対策が様変わりするのはもちろんですが、高校での教育も姿を変えることが予想されます。
学習面では、教科の枠を超えた総合的な学力、論述力やプレゼンテーション能力の向上が必要ですし、高校在学中には、学力向上のみではなく、部活動や課外活動で実績を上げることも大切なのです。つまり、これまでのように、教科別の学力テストでの得点力を上げるだけでは、大学に合格できないのです。
ただし、このような入試改革は、北米で学んでいる生徒にとって、むしろ有利だともいえます。北米の学校ではプレゼンテーションやリポート作成などが多く、部活動や課外活動も重視されているからです。また、実践的な英語力が求められるという点も有利に働くでしょう。
(次回は2月第4週号掲載)
◇ ◇ ◇
米日教育交流協議会のウェブサイトにて、当コラムのバックナンバーもお読みいただけます。
UJEEC Website: www.ujeec.org

過去の一覧

Share.