タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第50回
寒くなってまいりました。1月に降った大雪、マイナス10度を超える気候により、ニューヨークにある多くのビルが悲鳴を上げています。天井が抜け、浸水してしまった物件や水道管が破裂したビルなど多くのトラブルを耳にしました。
ではどうして天井が抜けるということが起こりえるのでしょうか。ご存知のとおり、ニューヨークには古いビルが多いため、ビルの屋上のコンクリートにひびが入っているケースがあります。積もった雪が溶け、水へと変わり、ひび割れに浸水、それが氷点下により氷になるとどうなるでしょう。水から氷へと体積が増大し、ひび割れに圧力がかかります。その結果、コンクリートが粉砕し、下階に浸水、ひどい場合は最上階の天井が抜けてしまうという事態が発生します。
水道管の破裂も同じ原理です。固まった水により水道管が破裂、その氷が溶け出しビルが水浸し。ひどい場合はエレベーターも数カ月使えなくなるケースがあります。
しかし、このような事態を未然に防ぐことはなかなか難しいのも事実。ニューヨークのビルのほとんどは50歳以上。なかには100年選手もざらにいます。こういった天災を防ぐには新築のビルに住むのが一番ですが、ご予算の問題もあると思います。ではどのように対応すればいいのでしょうか。
まず天災は天災と割り切る気持ちが大切です。好きで家を破壊する大家さんはいませんので、まずは大家さんと協力して事態の早期解決を目指しましょう。そして一番重要なのは、被害をご自身で未然に軽減しておくことです。
それが保険です。Renter’s Insuranceです。物件契約の際にほとんどの大家さんから勧められると思います。物件によっては「必ず入ってください」と義務付けられているでしょう。この保険に入っておけば、被害を最小限に食い止めることができます。
基本的に壁より内側は大家の責任範囲になりますが、お部屋内、家具や私有物に関しては、たとえ天災であろうとテナント側の責任となります。保険はこのテナント側の責任となる部分をカバーしてくれます。もし天災により、ご自分で購入した家具が台無しになったとしても、大家に文句をいっても事は進みません。どうして保険に入らなかったの?って言われるのが落ちです。
安い保険で年間100ドルちょっとです。大切な家具、大切な私物をお持ちの方は特にレンターズインシュアランスに入っておくことをお勧めします。(タイチ不動産 山本竜也)
(次回は3月第3週号掲載)
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