〈コラム〉集夢計画36 「故郷恋しや、落葉帰根」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第41回

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母校南山高校の恩師が開いてくれた「ザ・ピンク“いいね”カー」発表展示会の様子

万物が光に向かい伸びるは生命力、人が曙光を目指すは人性。
20代の初めに「行萬里路、作萬幅画(長い道のりを旅しながら、たくさんの絵を描く)」と志を立て故郷を離れ、日本、アメリカで一生懸命、一生勉強と生きて30余年。同じように、異国で年を重ねた人たちから「落葉帰根」という言葉がよく聞かれるようになりました。故郷に帰りたいが、居場所はないという切ない気持ちが含まれています。
「ザ・ピンク“いいね”カー」制作に協力してくれた屏東(ピントン)の会には、アメリカで成功した企業家も多く、故郷に恩返ししたいと皆が思いながら、機会を見つけられないでいました。そこで、屏東の特産品である果物と「吃果子拝樹頭、飲水思源(果物を食べる時、水を飲む時には原点を考え大切に)」という言葉をかけ、会員皆の気持ちを故郷に運ぼうと考えたのが制作のきっかけでもありました。
そして、屏東では、豊かな大地で果物を育てる人たちに、アメリカにいる同郷人の気持ちを伝え、台北に運ぶための美味しい果物をたくさん分けてもらいました。また、県立の小・中学生が果物をテーマに書いてくれた絵葉書は数千枚にも及び、台北の母校の恩師は、飲水思源の言葉を生徒たちにも伝えたいと盛大な催しまで開いてくれました。
アメリカから台湾へ心をつなぐイベントは8カ月に及びましたが、ひとまず終了。しかし、真善美を追求するアート人生はまだまだ続きます。
春耕秋無収穫(春に耕さなければ秋の収穫無し)を肌で感じ、実行している農民たちに倣い、映画制作の夢に向かい、絶えず実行と改めて思います。恩師の提案もあり、次作の携帯電話を素材にした「偉大な発明と矛盾」の台湾での制作が決定。また応援よろしくお願いします。(次回は5月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック】www.facebook.com/lin.shihpao

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