「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第40回
ニューヨークにもようやく春がやってきました。日本は始業式が春にあるということもあり、何かを始める気分になるのも、この時期ではないでしょうか。ニューヨークではいろいろなレストランが続々開店していますが、特に日本食レストランは人気が高いと思います。日本人ではないオーナーも日本食レストランを開店することが多く、益々、競争が激しくなり、差別化が求められています。私のところにも、新規で日本食レストランを開きたいので相談にのってほしいという方がたくさん来られます。特にマンハッタンにレストランを開店したいと望んでいる人が多いようです。そこで、今回はマンハッタンにレストランを開けるときに必要な手順を簡単に説明したいと思います。
ビジネスプラン
まず当たり前ですが、どのようなレストランを開けるか考えます。この思考の段階で具体的であればあるほど、先の工程で決断がしやすいので、客単価や集客数などの予定をたて、数字で表した方がよいです。
ビジネスの登録と必要な保険の調査
ここでのポイントはどの会社形態にするかということです。LLC、Partnership、C-corp、S-corpなどいろいろな会社形態がありますので、メリット、デメリットを考えて、慎重に選ぶことが大切です。「Employer Identification Number」の取得、 ニューヨークへの登録を済ませた後、各種必要な保険加入を調べます。労災、ビルディングの火災保険、障害保険などがあります。セールスタックスのIDも早くから取得した方が、あとあとの許可証を取るときにスムーズに進みます。
物件探しと契約
物件探しはマンハッタンの商業物件市場に詳しい不動産のプロフェッショナルを見つけることが重要です。ガスや電気などが通っていないところからスクラッチでレストランを作る場合と、もともと飲食業をしていたところに入る「居抜き」という場合あります。居抜きのほうが、開店までの時間をセーブできますが、通常はKEY MONEYという営業権代のようなものが発生します。契約書は弁護士に確認してもらい、リースにサインすることになります。
工事プラン
工事には、NYC Department of Buildings、Fire departmentなど規制があります。ライセンスを持った建築家やエンジニアのみ、プランの提出が認められています。プランが通るとパーミットが発行されます。工事に必要なパーミットは工事が行われる場所に貼っておく必要があります。看板などを出す場合も規制に掛かる場合がありますので、確認する必要があります。
次回(6月13日号)は、レストランの開店準備の説明をします。
〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。
【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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