〈コラム〉マンハッタンの飲食店経営 差別化が進んでいく時代に突入

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第51回

マンハッタンにはたくさんの飲食店があります。一番多いのは中華料理店、2番目にイタリアンレストラン、そして3番目に日本食レストランと、ここでも日本食人気を見ることができます。調査によると日本食レストランの人気の理由は、健康的、ファッショナブル、店の雰囲気などが挙げられるようです。アメリカだけではなく、とくに食文化の強い国、イタリア、フランス、中国、台湾、韓国などからも高い評価を受けているようです。

それでは、マンハッタンで日本食レストランを開店すると成功するのはそんなに難しくないことかというと、決してそうではありません。飲食業では家賃については、日本では通常は売上高の10%ほどといわれていますが、マンハッタンでは15%は予算にいれておかなければなりません。2大コストとして、材料費と人件費があるのですが、日本では、大体この費用が売上げの60%を占めるといわれます。アメリカでは、チップという制度があるのでサーバーの費用、人件費が日本と比べて少なく済む事が特徴でした。その人件費もマンハッタンのサーバーの最低賃金が5ドルから7ドル50セントに急激にあがり、経営がだんだん厳しくなってきました。これからは生き残りをかけて、どんどん差別化が進んでいく時代に突入したといえます。お寿司屋さんに焦点をあてると少し前までは、非日本人経営の日本にはないような巻物ばかり出しているお寿司屋さんが目立ち、日本人の私は少し残念に感じていました。最近では、日本で修行した寿司職人も増えており、高級店の進出もたくさん見られ、本格的な日本食ブームが到来する予感がします。ラーメンブームも続いていますが、たくさんの工夫を凝らしたラーメン屋さんをみることができます。みそ、しょうゆ、とんこつ、塩など一見、普通のメニューに見えますが、店ごとに魚介や鶏がら、豚骨などからのだしをとり、独自の味を出しています。差別化は味だけではなく価格帯でも見ることができます。できるだけ価格を抑えて学生層を狙う店もあれば、店内を綺麗にデコレーションして、宣伝をいっぱいし、高い材料を使って高級志向で勝負する店もあります。少々のアメリカナイズは良いと思いますが、日本食としての軸をしっかりもった差別化の店が増えれば、マンハッタンの日本食もさらにレベルがあがっていくのではと期待しています。

(次回は5月第2週号掲載)

takeshi%20001[1]〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。

ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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