ハイハイ=歩く能力

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ヨガで腰痛は治るの?(2)

〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第6回】

 

mon066093-urisaka0820赤ちゃんの成長の様子を真剣に見たことはありますか?

生まれたての赤ちゃんはまず目で物を追いかけ、頭が動くことで首が座り、寝返りを打ち、ハイハイを始めます。これら初期の幼児発達は大人になっていくための重要なステップです。例えばハイハイは手足を交互に動かす訓練でコアのトレーニングにもなっています。そしてこれは歩く為のパターン作りの一つになります。

しかし大人になり、パソコンの前に長時間座っていたり、車の運転時間が長くなると、身体を固めるパターンに変化して身に付いてしまいます。この悪いパターンが日常の動作の中に入り、たとえば軽いゴルフボールを拾うだけでも、動きを元にした“ハイハイパターン”ではなく座り固まった“椅子パターン”が出てしまい、ぎっくり腰などの痛みが出てしまいます。

正しい姿勢や型を意識するヨガや武道系の運動はその身に付いた間違った身体のパターンを変えるのにとても適しており、何十年もの間に育ててきた悪い癖を忘れさせてくれます。インストラクターから肩を落とす、股関節を開放するなど注意してもらい、自分の間違った動きに目を向けることで、外からの情報を得て直すきっかけになります。普段行わないポーズを練習することで関節の可動範囲を大きくしたり、バランスにチャレンジすることによって筋肉の反射神経を良くします。

ただエクササイズのために行うのではなく、身体の使い方を見直して人間が本来持つ体の成長パターンを思い出しましょう。

(次回は9月第3週号掲載)

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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