〈コラム〉パートナーシップの魅力 自営と比較すると資本投資集めやすい

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第60回

新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

新年が始まりました。新しいビジネスを考えて起業を目指している方も多いと思います。ビジネスのアイデアが固まった後はそれにあった会社形態を考えることも大切になります。会社形態を選択する場合、大きく分類すると自営、株式会社、パートナーシップ(LLCを含む)となります。今回はパートナーシップについて説明いたします。

パートナーシップは複数の投資を受け入れることが可能なため、自営と比較すると資本投資を集めやすくなります。パートナーシップの税務面での一番の特徴は、パススルー課税と呼ばれ、事業体そのものが法人課税を受けることはなく、収益や損失は構成員課税方式であるため、各パートナーがそれぞれ納税主体となることで、株式会社のように二重課税を避けることができます。他の特徴としましては、配分の自由性ということも上げられます。

株式会社の場合、オーナーである株式への経済的利益の還元手段は原則として持ち株比率に応じた現金配当に限られるのに対して、パートナーシップではパートナーに対しさまざまな還元手段が許されています。一定の制限はあるのですが、事業や投資活動が生み出す様々な経済的属性の配分方法をパートナーシップ契約で自由に決めることができます。

例えばABCD Partnershipを4人が持分が同じで設立したとします。普通の株式会社(c-corporation)では利益、損失等、通常25%の4等分するかたちになりますが、パートナーシップでは持分に関わらず、例えば、Aに30%、Bに20%、Cに40%、Dに10%といった不均等配分ができます。さらに、項目についても特定のものはA、その他の経費はB、CとDには利益といったこともできます。ただ、その柔軟性は一定の制限を記しているパートナーシップの配分を司る条文であるIRC704(b) IRC704(c) IRC704(e)の中で許容されます。

パートナーシップはその名のとおり、複数のパートナーが集まって運営をしていきます。設立のときは同じ目標を持っているかもしれませんが、時がたつに連れて、経営状況もかわりますし、目標や考え方も変わってしまうかもしれません。配分の自由性があるだけに、最初に細かく決まりを書類に残しておくことがトラブルを避ける手段にもなります。私の経験上、経営がうまくいき始めたパートナーシップのパートナーたちが、もめることが多いです。皆さんの成功をお祈りします。(次回は2月第2週号掲載)

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〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

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