〈コラム〉召喚状を受けたら

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召喚状

民事訴訟または刑事訴訟の当事者でなくても、ある日突然、個人又は会社が召喚状(Subpoena/サッピーナ)を受ける側に立つ場合があります。

召喚状とは、個人又は会社に対して、法廷やその他の訴訟手続きにおいて、係争中の訴訟に関連した事実の証言や書類提出を命じる法的文書のことです。これを受け取ると、申し立てによれば貴方が知っているとされることを証言することや、個人又は会社が所有しているとされる書類を提出することが求められます。

証言を求める召喚状を一般に証人尋問令状(Ad Testificandum)というのに対し、文書提出を求める召喚状は文書提出令状(Subpoena Duces Tecum)といいます。召喚状は通常、弁護士又は裁判所書記官が発行と署名をし、一般的に、証言又は文書提出を行う日時と場所が特定されています。

召喚状が送達された場合は、これに従って証言または文書提出をするのか、法的根拠に基づいて異議を申し立てるのか等、どう対応するかを速やかに決定する必要があります。

召喚状にどう対応するかは、特定の事実関係や状況によって左右されます。弁護士に相談した後、召喚状の求め通り証言をしたり書類を提出することが適切なのか、あるいは異議、論争又は無効を申し立てるのが得策になるのかを決定することができます。

合法的に異議や論争を申し立てる場合は、何種類かの法的根拠があります。例えば、求められる情報が部外秘である場合、召喚状に従うことが過度に広範囲であったり不当に難儀である場合、貴方個人又は貴方の会社が関連情報や証言できる情報を持っていない場合、答えを示す文書を持っていない場合、又は求められる情報が自己不罪拒否特権を侵害する場合などです。

召喚状に適切に対応するために弁護士に相談する際、貴方が訴訟に全く関心が無い場合でも、弁護士に対して全ての事実関係や状況を包み隠さず率直に伝える必要があります。召喚状を受けて法廷で証言する場合、その証言は宣誓の下、真実を述べる必要があり、それは筆記され公記録となるということを肝に銘じておくべきでしょう。

真実ではないことを述べた場合は、偽証罪に問われることになります。更に、このような証言をすると、貴方に不利になるよう利用されたり、自己を有罪に至らしめてしまうことがありますし、文書の作成を求められた場合、自己有罪となる情報が含まれてしまうかもしれません。貴方には憲法上の権利である自己不罪拒否特権がありますので、弁護士はその権利を根拠に、召喚状に対して異議を申し立て、証言や書類提出避けるための異議の申し立てをすることができます。

平たく言えば、召喚状を無視したり返事をし損ねたりすると、民事罰及び刑事罰の対象となる可能性があります。更に、召喚状の受け取り後に書類の破棄や書類の保管を怠ることも、民事罰と刑事罰の対象になることがあります。そのため、個人又は会社が召喚状を受け取った場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。

〈今週の執筆者〉(弁護士 マリアン・ディクソン)

(お断り)本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。法的アドバイスが必要な方は弁護士・法律事務所へ直接ご相談されることをお勧めします。

(次回は3月第1週号掲載)

〈今週の執筆事務所〉Miki Dixon & Presseau 法律事務所
122 East 42nd Street, Suite 2515 NY, NY 10168 Tel:212-661-1010 Web:www.mdp-law.com
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