腹筋トレーニングをやめてください

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コアのほんとのお話(3)

〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第16回】

前回、筋肉はいくら鍛えても持っているだけでは意味がなく、脳と身体の伝達が上手くいっている状態が大切であるとお話しました。もう一つ知っておきたいのが、筋肉には「身体を動かすための筋肉と、姿勢を保つための筋肉」の2種類があるというお話です。

例えば腹筋。鍛え抜かれた腹筋が6つに分かれてみえるいわゆる「シックス(6)パック」は「身体を動かすための筋肉」です。この筋肉は肋骨と骨盤をつなぎ、ベッドから起き上がる時や、ボールを投げたり背中を丸める動作に使います。ところが胴体のサポートがない状態で背中を丸めると、ヘルニヤや坐骨神経痛など様々な腰痛が起こります。

そこで大事なのが背骨から身体の手前までぐるっと帯状に回っている筋肉です。この筋肉はコルセットのように姿勢を保ち、背骨を正常なポジションにキープしてくれます。ただし実際の硬くて窮屈なコルセットとは違い、様々な動きをフォローしながら腰を守り、スポーツや日常生活で使うひねりや背中の曲げ伸びを制限せずに怪我を防ぎます。

多くの腹筋トレーニングはシックスパックを鍛えるだけなので、見た目を気にする方には適しています。しかし守る筋肉が同時に働いていない場合はトレーニング中でも怪我をしやすくなります。姿勢を保つための筋肉を鍛えるには体を曲げる腹筋のトレーニングではなく、正しい姿勢をキープしながら行うデッドバグやプランク、または腕立て伏せなどのトレーニングの方が向いています。

次回は姿勢の筋肉とコアとの連携についてお話します。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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