座り続けると死亡率上昇
〈コラム〉瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第18回】
私達は毎日椅子に座って、コンピューターの前でお仕事をしたり、テレビを観ながらくつろいでいたりします。大人になると大抵の人は一日の55%から70%の時間は椅子に座ってじっとしていますが、ニューヨークで長時間働いている人達はもっと大きな割合をしめているでしょう。長時間座っていると糖尿病、がん、心臓病などの病気になる確率も高くなります。この座るという動作は実は最近の研究では死亡率を上昇させることが判明しています。
8人の医師らによる共同研究「Daily Sitting Time and All-Cause Mortality: A Meta-Analysis」によると座り続けている人の死亡率が1時間ごとに2%上がっていくことが分かっています。その上、7時間以上座り続けると、1時間ごとの死亡率が5%に変わっていきます。毎日12時間デスクワークをしている人は危険度があります。
では健康を気にして運動をしている皆さんはどうでしょうか。当クリニックではマラソンの為のランニングやジムに定期的に行って頑張ってトレーニングしている人もいます。ところが、この座る1時間の悪影響は運動を行っている人を含めての数です。さらに全く運動をしない人は1時間ごとの死亡率は8%ずつ上昇します。
では毎日座っりぱなしの皆さんはどうしたらよいでしょうか。皆さんの生活の中で出来ることは色々とあります。
仕事中のアドバイス
●電話は立ちあがって受ける
●タイマーを30分ごとにセットして、立ち上がってストレッチをする
●もし会社で対処できるのであればスタンディングデスクに変える。
仕事以外の時間のアドバイス
●出来るだけ立つ
●ランチタイムでは散歩をしたり、週末にはウオーキングをする
●通勤も足を使って歩いてみる
●テレビや携帯を触る時間を減らす
人間も動物の一つであり、動くようにつくられている生命体です。現代では人間が動かないような環境が作り上げられ、これは人間の動物としての能力を低下させていきます。身体を動かすことで内臓も、筋肉も脳も働き、健康になります。まず座り続ける事をやめましょう。
〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ) 理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/