〈コラム〉ファイナンシャルアカデミー代表 泉正人「社会人のための資産運用」第9回

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粗利について 原価を考える癖をつけよう

ビジネスパーソンの方は「粗利」という言葉をお聞きになったことがあると思います。文字通り売り上げから原価を差し引いた、大雑把な利益のことです。
例えばドーナツで言うと、ドーナツの売値から、材料費を引いた金額になります。宣伝費や、人件費・家賃などは差し引かれていません。もちろん店舗によりますが、ドーナツの製造原価はだいたい1割〜2割といわれています。
街のドーナツ屋は年中無休で夜遅くまで開いていますし、いつでも品揃えが豊富です。そういった状態で営業できるのは、製造原価に8割から9割もの利益と経費を上乗せしているからだと推測できます。作ったドーナツを半分以上捨てても、利益が出る仕組みになっているのです。
つまり、私たちがドーナツを買う時に払うお金には、材料費だけでなく、店舗の維持費、人件費、店の利益などが含まれているということです。そして、どのくらい利益を乗せるか、ということはもちろんお店が自由に決めることができます。そのため、高いドーナツだからといって必ずしも高品質だとは限らないのです。利益を多く上乗せしているお店もあれば、利益を減らして安い値段で提供する良心的なお店もあるからです。
僕が今回、皆さんにお伝えしたいのは、正しくお金を使うためにはその商品がなぜその値段で売られているのか、売る側の視点にたって、考える必要があるということです。
何か物を買うときには、この商品の原価は一体いくらなんだろう? と考える癖をつけてみましょう。そうすると、「本当にこれだけのお金を支払う価値があるのか」と、「価値」と「価格」を冷静に分析して、正しいお金の使い方ができるようになっていきます。
(次回は11月3日号掲載)

「お金の教養」〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac

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