〈コラム〉ファイナンシャルアカデミー代表 泉正人「社会人のための資産運用」第4回

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投資信託の手数料 資産がいきなり目減りすることも

今回はとても大切な投資信託の手数料についてお話ししたいと思います。
投資信託は、私たちが支払ったお金の全てが運用に回されるわけではありません。投資信託には、「販売手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」などのコストが掛かります。
販売手数料は、投資信託の購入時に差し引かれる手数料で、株式投資信託であれば2〜3%かかるものが多くあります。
信託報酬とは、投資信託を保有している間、毎日一定の割合で差し引かれるもので、手数料率は商品によってかなり違いますが、年間2%程度かかるものあります。
最後に、信託財産留保額とは、投資信託を満期まで持たなかった時の途中解約金のようなものです。この手数料率は0.1〜0.5%ほどのものが多いです。これらの手数料を差し引かれた金額が、純粋に投資に充てられる額ということになります。
私は投資の知識がなかったころ、ためた500万円をプロに運用を任せようと思い、投資信託を購入しました。銀行の窓口で購入し、手数料についても説明されましたが、細かいことを気にせず購入しました。
後日自宅に送られてきた投資信託の取引報告書を見ると、500万円で買った投資信託が既に、480万円になっています。販売手数料約10万円が差し引かれた上に、既に10万円ほど値下がりしていたのです。
あわてて、他の手数料についても調べてみると、信託報酬が1.5%で信託財産留保額が0・5%でした。
残り二つの手数料が480万円から差し引かれると、手元に残る金額は470万4000円。なんと、増やそうと思って買った商品なのに、買ったばかりで30万円も目減りしてしまったのです。
その投資信託は値下がりを続けましたが、もともと投資の知識のなかった私は、売った方が良いかの判断はつきませんでした…。
このような状況におかれている方は多いのではないかと思います。
事前に少しの勉強して、最低限の知識を身につけているだけでこのようなことは避けられます。学習の大切さをあらためて感じた私の経験です。 (次回は6月2日号掲載)

「お金の教養」〈プロフィル〉泉 正人(いずみ まさと) ファイナンシャルアカデミー代表、金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授。経済入門から資産運用までの幅広いファイナンシャル教育を行う。受講者が18万人の「お金の教養」=写真=プログラムをニューヨークでも開催。http://us.Financial.ac

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