〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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~日本語力向上のための方法

夏休みに様々な体験を通して楽しみながら集中的に学ぶ

米国での生活が長くなると、子どもの日本語力は徐々に落ちる傾向があります。もちろん渡米時期や在米期間、生活環境などの条件によって個人差があり、中学生や高校生になってから海外生活を始めた子どもの場合には、日本語力は大きく落ちることはなく、むしろ英語力が伸び悩むという傾向が目立ちます。一方、米国で生まれたり、幼少時に米国での生活を始めたりした子どもの場合には、両親が日本語話者であっても、年齢相応の日本語力が定着していないというケースもあります。また、両親のいずれかが日本語話者でない場合には、日本語での会話も難しいという子どももいます。このように米国で暮らす子どもの日本語力は様々ですが、日本語力の低下を食い止め、さらに向上させるためにはどうすればよいでしょうか。
そのためには日本語に触れる時間を増やすことが必要です。まず、家庭での会話は日本語で行うことが大切です。母親のみが日本語話者の場合には、母親とは必ず日本語で話す習慣をつけましょう。また、日本語のテレビ番組や映画、アニメーションなどを観たり、日本語の本を読んだりするのもよいでしょう。また、補習校や日本語学校に通学することも大いにお勧めします。週1回ではありますが、日本語での学習を継続している子どもは、在米期間が長くても学年相応かそれに準ずる日本語力を維持しているケースが目立ちます。
また、夏休みなど長期の休みを利用して集中的に日本語に触れるという方法もあります。その一つが日本の学校での体験入学です。日本語での学習のみならず、同年代の子どもと接することができますし、日本の学校生活そのものを体験できるのがメリットです。ただし、体験入学では日本の学校の通常授業を受けますので、学年相応かそれに準ずる日本語力、特に読み書きの力がないと授業についていけませんし、会話ができないとクラスメートともなじめません。楽しく過ごせないので日本語学習意欲を失うこともあるので注意が必要です。
ほかに、サマーキャンプのような体験型の学習プログラムもあります。これには米国内で実施されるものと日本で実施されるものとがあります。前者は日系の学校や団体が主催でも米国の施設を使うために英語を使う機会が多くなってしまうケースもあります。後者には海外在住者専用というものは少なく、日本語の読み書きの力はさほど必要がないものの、会話がかなり流暢でないと、一緒に参加する子どもたちについていけないということもあります。
米日教育交流協議会の「サマーキャンプ㏌ぎふ」は、日本で実施する海外在住者専用の日本語・日本文化体験学習プログラムです。さまざまな体験を通して楽しみながら日本語に触れることができ、日本語の学習意欲が芽生えると好評です。詳細はウェブサイトwww.ujeec.orgをご覧ください。(次回は3月第4週号掲載)
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UJEEC Website: www.ujeec.org

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