つなぎモノのお話
つなぎのモノ、今回は靴下についてです(笑)。ビジネススーツと言えば、大概紺とグレー、そして合わせる靴は私たち日本人の場合、9割方、黒でしょうか。近年日本の若い方の間で、ようやくビジネスの場で紐(ひも)靴を履かれる方が多くなっているようです。大変良いことだと思います。特に営業の方は、靴紐で甲回りのフィット具合を調節できるので、一日の足の疲れが随分違ってくるものです。スリップオン(紐なし靴)は疲れます。
靴下は、スーツ組下スラックスと靴をつなげる、言わばジョイントの役目を担っています。どんなにいいスーツ、シャツ、ネクタイを合わせ、上等の靴を履いても、靴下の選択を誤ったら“ハイ、それま~~で~よ~”なんです(苦笑)。そのような意味で靴下は油断のできないアイテムなのであり、思った以上に存在感があるものなのです。
ビジネス用の靴下は、柄は無地、素材はウールのリブ網、色は黒、紺、チャコールグレーの三色と大体決まっております。これ以外の柄や色はビジネスの場にふさわしくありません。またできるだけ、当地でHOSEと呼ばれるヒザ下までの長いものを合わせてください。私たちは、スラックスの丈を必要以上に長くする方が多い(実は靴にあまりたるみが出ない方が足は長く見える)ので、あまりこのようなことはないかもしれませんが、椅子に座った際に、足の脛が見えてしまうのはNO GOODなのです。
組み合わせ方は簡単です。靴下の色をスーツの色か、靴の色に合わせる、それだけで良いのです。紺のスーツで黒靴ならば、ソックスは紺か黒、チャコールグレーのスーツに黒靴ならば、ソックスはチャコールグレーか黒。簡単でしょう? もしチャコールグレーのスーツに茶靴ならば、チャコールグレーのソックスでOKです。
最後に、ソックスの素材はウールがお勧めです。夏でもウールでOK。実はウールの方が水虫にもなりにくいのです…。
(次回は2月第2週号掲載)
〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。